チャイナタウン
原題:CHINATOWN
監督:ロマン・ポランスキー
脚本: ロバート・タウン
撮影: ジョン・A・アロンゾ
音楽:
ジェリー・ゴールドスミス
上映時間:131分
1974年/アメリカ映画
出演: ジャック・ニコルソン 、フェイ・ダナウェイ、ジョン・ヒューストン、バート・ヤング、ペリー・ロペス、 ジョン・ヒラーマン
私立探偵ジェイク・ギテス(ジャック・ニコルソン)は、元ロス市警の警官で、チャイナタウンを担当していた。事件に絡んだ女との一件で警察をやめ、今は主に夫婦間のいざこざ専門の私立探偵をしている。そんな彼が、病んだ人間関係が放つ腐臭の元を探るうち、殺人事件に巻き込まれていく。しかし『チャイナタウン』にはポランスキー特有の鬼面人が人を脅かすといった異常なシーンは見受けられない。長いハードボイルド小説の世界そのままに、淡々とした日常が、ひたすら流れるように展開するだけ。ギテスにあっては事件の発生する日々の方が日常的だ。いかに騒々しい環境に巻き込まれても・・・・。
ジャック・ニコルソンの出演作の中で、特に好きなものは「さらば冬のかもめ」と「イージー・ライダー」。これらお気に入りの他に、名作としては70年代を代表するフィルムノワールの秀作「チャイナタウン」を挙げたい。本作でアカデミー賞、オリジナル脚本賞をロバート・タウンが受賞した。脚本を書くにあたっては、ジャック・ニコルソンそのものが、着想の源になったそうだ。ジャックを想定し、彼の気性や仕草、言葉遣いを描いたとのこと。本作はジャック・ニコルソンの資質がわかる、ファン必見の一本といえよう。ジャックから香る男のエレガント。真実にたどりつこうとする真摯な眼差し。女の弱さを敏感に見抜き、そこを鋭く突いて自分のペースに引き込んでしまう聡明さを感じてほしい。
↓鼻の絆創膏。せっかくのハンサム顔がこんなことに。この傷は監督ポランスキー扮する残虐無類の殺し屋のサディスティックなナイフによるもの。
映画の見所の一つとして、ジョン・ヒューストンの渋い演技がある。ポランスキー監督曰く「ジョンが赤裸々に描いた彼独自の悪は、悪意に満ちた言動から出されたものでなく、上品さの裏に隠れたもの」だと・・・・・。何とも表現しがたい、底冷えする感覚を潜ませてた演技だ。私生活ではジャックとジョン・ヒューストンは特別な関係にあった。ジャックのかつての恋人アンジェリカ・ヒューストンはジョンの娘。父親が監督した『女と男の名誉』では、ジャックと共演し、アカデミー助演女優賞を受賞している。
薄幸のヒロインを演じたフェイ・ダナウェイの存在も大きい。一筋縄ではいかない謎めいた女を通して怪しいムードを醸し出している。作品全体に流れる退廃的なムードに溶け込んだ、アンニュイな美しさが目を引く。ラスト、爆発せざるを得ない状況へと突っ走る姿・・・運命が勝る結果となってもそれに負けたと思わせないところが『俺たちに明日はない』のボニー・バーカーとダブる。ラストは、ハッピーエンドとアンハッピーエンドの2パターン用意され、最終的に悲劇の結末となった。
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ジャック・ニコルソンの館
【作品INDEX】
リトル・ショップ・オブ・ホラーズ(60)
忍者と悪女(63)
古城の亡霊(63)
旋風の中に馬を進めろ(66)
銃撃(66)
爆走!ヘルズ・エンジェルス(67)
聖バレンタインの虐殺/マシンガン・シティ(67)
白昼の幻想(67)
ジャック・ニコルソンの嵐の青春(68)
イージー・ライダー(69)
晴れた日に永遠が見える(70)
ファイブ・イージー・ピーセス(70)
愛の狩人(71)
キング・オブ・マーヴィン・ガーデン(72)
さらば冬のかもめ(73)
チャイナタウン(74)
さすらいの二人(75)
Tommy/トミー(75)
おかしなレディ・キラー(75)
カッコーの巣の上で(75)
ミズーリ・ブレイク(76)
ラスト・タイクーン(76)
ゴーイング・サウス(78)
シャイニング(80)
郵便配達は二度ベルを鳴らす(81)
レッズ(81)
ボーダー(81)
愛と追憶の日々(83)
女と男の名誉(85)
心みだれて(86)
イーストウィックの魔女たち(87)
ブロードキャスト・ニュース(87)
黄昏に燃えて(87)
バットマン(89)
黄昏のチャイナタウン(90)
お気にめすまま(92)
ア・フュー・グッドメン(92)
ホッファ(92)
ウルフ(94)
クロッシング・ガード(95)
マーズ・アタック!(96)
ブラッド&ワイン(96)
夕べの星(96)
恋愛小説家(97)
プレッジ(01)
くたばれ!ハリウッド(02)
アバウト・シュミット(02)
N.Y.式ハッピー・セラピー(03)
恋愛適齢期(03)
ディパーテッド(06)
最高の人生の見つけ方(08)
幸せの始まりは(10)
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