クロッシング・ガード
原題:The Crossing Guard
監督:ショーン・ペン
製作:ショーン・ペン、デイヴィッド・S・ハンバーガー
脚本:ショーン・ペン
撮影:ヴィルモス・ジグモンド
音楽:ジャック・ニッチェ
美術:ミカエル・ハラー
上映時間:111分
1995年/アメリカ映画
出演:ジャック・ニコルソン、デイヴィッド・モース、 アンジェリカ・ヒューストン、ロビン・ライト・ペン、パイパー・ローリー
小さな女の子が交通事故で命を落としました。加害者の男ジョン(デイヴィッド・モース)は酒を飲んでおり、現場に女の子を残して逃走しますが、やがて捕まり傷害致死罪で懲役6年の刑を受けます。そのジョンが刑期を終えて出所するところから物語は始まります。ジョンの6年間は罪悪感にもがき苦しむ日々でした。自分はとんでもない罪を犯した、その罪の重みを一生負いつづける、自分を不幸とは思わない、だが他人に大きな不幸をもたらした・・・・と。自由の身になったジョンですが、とても自由を謳歌するという気持ちにはなれません。自由は過大評価されていて、つまり、自由より価値のあるものがない限り、自由は娯楽に過ぎないとしか考えられないのでした。
一方、亡くなった女の子の父親、フレディ(ジャック・ニコルソン)は、絶望と空虚と憎悪を心に抱え、うつろな瞳の奥に殺意の炎を燃やして生きています。夜毎の酒と女は、彼の凍りついた心を溶かすものではないと知りつつも、人生を台無しにする生き方しかできないことが何とも痛ましい。ジャックの心象風景の描写能力・・・他の追随を許しません。
フレディには妻のメアリー(アンジェリカ・ヒューストン)とふたりの息子がいましたが、娘を失った悲しみだけが心を支配し、家族を思いやる余裕はありませんでした。メアリーも娘を失った親です。悲しみを分かち合い互いを支えあう夫婦でありたいと願いましたが、夫にその思いは通じません。そして離婚。娘の死は家族の崩壊を招きました。フレディは孤独を深め、その顔には苦悩と疎外感が滲み出ています。
フレディはある夜、夢をみます。横断歩道にさしかかる女の子をクロッシング・ガード(交通安全指導員)のジョンが誘導している光景・・・車で通りかかったフレディは、ブレーキを踏みますがスピードが落ちず、子供たちの列につこんでしまう・・・彼がひいた子はエミリーでした。事故の被害者と加害者が入れ替わった夢。フレディもジョンも深い哀しみに包まれて生きている事を思わせる夢です。
監督はショーン・ペン。セリフの少ない映画ですが、「人生を真摯に受け止め、生きていく進むべき方向を定めよ」というメッセージが読み取れます。余談になりますが先日の新聞記事によれば、今ハリウッドの米映画俳優組合(SAG、約12万人)と制作者側の契約更改交渉が暗礁に乗り上げているそうです。強硬派としてジャック・ニコルソンとショーン・ペンの写真と名前が載っていました。このふたり、『プレッジ』でも組んでいます。仲良しですね〜♪
| ジャック・ニコルソンの館
【作品INDEX】
リトル・ショップ・オブ・ホラーズ(60)
忍者と悪女(63)
古城の亡霊(63)
旋風の中に馬を進めろ(66)
銃撃(66)
爆走!ヘルズ・エンジェルス(67)
ジャック・ニコルソンの嵐の青春(68)
聖バレンタインの虐殺/マシンガン・シティ(67)
イージー・ライダー(69)
晴れた日に永遠が見える(70)
白昼の幻想(67)
ファイブ・イージー・ピーセス(70)
愛の狩人(71)
キング・オブ・マーヴィン・ガーデン(72)
さらば冬のかもめ(73)
チャイナタウン(74)
さすらいの二人(75)
Tommy/トミー(75)
おかしなレディ・キラー(75)
カッコーの巣の上で(75)
ミズーリ・ブレイク(76)
ラスト・タイクーン(76)
ゴーイング・サウス(78)
シャイニング(80)
郵便配達は二度ベルを鳴らす(81)
レッズ(81)
ボーダー(81)
愛と追憶の日々(83)
女と男の名誉(85)
心みだれて(86)
イーストウィックの魔女たち(87)
ブロードキャスト・ニュース(87)
黄昏に燃えて(87)
バットマン(89)
黄昏のチャイナタウン(90)
お気にめすまま(92)
ア・フュー・グッドメン(92)
ホッファ(92)
ウルフ(94)
クロッシング・ガード(95)
マーズ・アタック!(96)
ブラッド&ワイン(96)
夕べの星(96)
恋愛小説家(97)
プレッジ(01)
くたばれ!ハリウッド(02)
アバウト・シュミット(02)
N.Y.式ハッピー・セラピー(03)
恋愛適齢期(03)
ディパーテッド(06)
最高の人生の見つけ方(08)
幸せの始まりは(10)
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