忍者と悪女
原題:THE RAVEN
製作総指揮:ジェームズ・H・ニコルスン、サミュエル・Z・アーコフ
監督: ロジャー・コーマン
原作: エドガー・アラン・ポー
脚本: リチャード・マシスン
撮影: フロイド・クロスビー
音楽: レス・バクスター
美術:ダニエル・ハラー
セット監督:ハリー・リーフ
特殊効果:パット・ディンガ
上映時間 86分 、1963年アメリカ映画
出演: ヴィンセント・プライス、ピーター・ローレ、ボリス・カーロフ、ジャック・ニコルソン、デブラ・パジェット 、ヘイゼル・コート、オリーヴ・スタージェス
もの寂しい真夜中のこと。クレーヴン博士(ヴィンセント・プライス)は2年前に亡くなった最愛の妻のレノーア(ヘイゼル・コート)のことを思っていた。彼女は輝くばかりの乙女、今は天使となって自分を包んでくれているのかもしれない・・・・・。そんなことを考えているうち、博士は眠りに落ちていく。どれくらい経っただろう。「コツコツ」と誰かが優しく部屋のドアをたたくような音がした。音の主は一羽のカラス。深夜の訪問者は「部屋に入れてくれ」と懇願するかのように窓ガラスを叩き続ける。
博士はカラスを中に入れてやり「レアという天使を知っているか?」と、カラスにつぶやく。するとカラスは「そんなの知るか、ワインをくれ。」と言葉をしゃべった。この超自然現象に博士は、さして驚いた風もない。なぜなら、クレーヴン博士は魔術師だからだ。カラスの正体は同じく魔術師のベドロ博士(ピータ・ローレ)。スカラバス博士(ボリス・カーロフ)に魔法をかけられカラスに変えられたらしい。カラスは元の姿に戻してくれとクレーヴン博士に乞う。
博士は穏やかな紳士である。横柄なカラスに言われるまま、乾燥したコウモリの血とゼリー状のクモ、死人の髪、ウサギの脚、ハゲ鷹の舌を調合した魔法の薬を作って飲ませてやる。と、カラスは小柄な男へと変身した。ただし、体は鳥のまま(笑)。どうやら死人の髪の量が足りなかったようだ。
ジャック・ニコルソンが演じているのはベドロ博士(ピータ・ローレ)の息子レックスフォードで、羽根つきの帽子に錦織の衣装を着ている(汗)。劇中、何度となく見せる宙を仰ぎ、首をすくめて両手を上げる仕草はジャックのトレードマークのひとつ。この映画で始めたものかもしれない。
カラスに変えられていたベドロ博士が「自分に魔法をかけたスカラバス博士の城で、レノーアを見た。自分は彼に復讐してやりたいし、あんたは死んだレノーアかどうかを確かめたいだろ」と持ちかけてきた。クレーヴン博士は思う。「妻の遺体は棺の中にある。もしかしたら、スカラバス博士が妻の魂を操っているのかもしれない。そうであるならば、彼女の魂を救ってやりたい。」と・・・・・。こうして、クレーヴン博士と娘のエステル(オリーヴ・スタージェス)、ベドロ博士と息子のレックスフォードの4人はスカラバス博士の館へと向かった・・・・・。
映画の冒頭は幻想的だ。溶岩が流れ出したような映像をバックに黒いカラスの影が映る。続いて波のうねりが挿入され、不気味な館が姿を現す。この導入部からすると、恐ろしげなストーリーと映像によって構成されたホラー映画かと思ってしまうが、さもあらず。この映画ははコメディ仕立てのファンタジー・ホラーだ。ホラー映画は苦手という方にも、安心してお勧めできる。また、ジャックの若々しい姿を拝みたいファンには必見の映画だろう。
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ジャック・ニコルソンの館
【作品INDEX】
リトル・ショップ・オブ・ホラーズ(60)
忍者と悪女(63)
古城の亡霊(63)
旋風の中に馬を進めろ(66)
銃撃(66)
爆走!ヘルズ・エンジェルス(67)
聖バレンタインの虐殺/マシンガン・シティ(67)
白昼の幻想(67)
ジャック・ニコルソンの嵐の青春(68)
イージー・ライダー(69)
晴れた日に永遠が見える(70)
ファイブ・イージー・ピーセス(70)
愛の狩人(71)
キング・オブ・マーヴィン・ガーデン(72)
さらば冬のかもめ(73)
チャイナタウン(74)
さすらいの二人(75)
Tommy/トミー(75)
おかしなレディ・キラー(75)
カッコーの巣の上で(75)
ミズーリ・ブレイク(76)
ゴーイング・サウス(78)
シャイニング(80)
郵便配達は二度ベルを鳴らす(81)
レッズ(81)
ボーダー(81)
愛と追憶の日々(83)
女と男の名誉(85)
心みだれて(86)
イーストウィックの魔女たち(87)
ブロードキャスト・ニュース(87)
黄昏に燃えて(87)
バットマン(89)
黄昏のチャイナタウン(90)
お気にめすまま(92)
ア・フュー・グッドメン(92)
ホッファ(92)
ウルフ(94)
クロッシング・ガード(95)
マーズ・アタック!(96)
ブラッド&ワイン(96)
恋愛小説家(97)
プレッジ(01)
くたばれ!ハリウッド(02)
アバウト・シュミット(02)
N.Y.式ハッピー・セラピー(03)
恋愛適齢期(03)
ディパーテッド(06)
最高の人生の見つけ方(08)
幸せの始まりは(20)
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