聖バレンタインの虐殺/マシンガンシティ

原題：THE ST. VALENTINE'S DAY MASSACRE
監督： ロジャー・コーマン
製作： ロジャー・コーマン
脚本： ハワード・ブラウン
編集：ウィリアム・マーフィ
撮影： ミルトン・クラスナー もとに
特殊効果： Ｌ・Ｂ・アボット
音楽： ライオネル・ニューマン
上映時間 100分 　1967年/アメリカ映画
出演： ジェイソン・ロバーズ、ジョージ・シーガル、ラルフ・ミーカー、ジーン・ヘイル、ブルース・ダーン、ジャック・ニコルソン

本作は１９２９年の２月１４日に起こった「聖バレンタインの虐殺」と呼ばれる事件を題材にしたギャング映画である。監督は低予算の恐怖映画、SF映画、アクション映画などを作り続けてきたロジャー・コーマン。その彼が２０世紀フォックスというメジャーな撮影所で撮る機会を得た。独立プロでは作れなかった豪華なセットを利用し、血で血争うギャングの抗争をドキュメンタリータッチで描いている。

町にはジャズが流れ、パリ〜ニューヨーク間の飛行成功に人々が湧き、ミッキーマウスが登場し、第３１代大統領フーバーが「我が国は貧困に対し決定的な勝利を収める」と宣言した時代。その裏では禁酒法制定以後、力をつけた暗黒街のボスたちが熾烈な勢力争いを演じていた。ギャングの抗争の後、彼らは統合強化を図ったが、非合法酒の利益が新たな争いを生む。１９２９年までに彼らは２万１２０７軒のモグリの酒場を操り、総収入は３憶５７００万ドルという巨額の収益をあげていた。一方、禁酒法が制定された１９２０年から２９年までの間に６１８人のギャングが殺害された、まさに暗黒の時代である。

映画は「聖バレンタインの虐殺」にかかわったギャングたちのひとり一人を紹介する形で進行していく。事件の黒幕アル・カポネ（ジェイソン・ロバーズ）の場合は・・・・。イタリア生まれのニューヨーク育ち、１９１９年にシカゴへ移る。前歴なし。彼は狡猾で冷酷な野心家で酒場の用心棒からのし上がり、６年間でシカゴの暗黒街の最強組織のボスとなった。事件の首謀者ジャック”マシンガン”マクガーンは９歳の時に殺された父親の敵と目される者を２０歳までに次々と殺害、カポネ一家のナンバー１の殺し屋となった・・・といった具合。事件の犠牲者となったアル・カポネと敵対するジョージ・モラン一家の６人プラス１人（整備工）についても、同じように触れられている。



この虐殺事件に対する市民の怒りが悪名高いギャング戦に休止符を打たせた。モランは九死に一生を得たが組織は壊滅、事件後はシカゴから消えた。その後、銀行強盗の罪で連邦刑務所で１０年の刑を受ける。その期間中の１９５７年２月２５日に肺がんで死亡。アル・カポネは「聖バレンタインの虐殺」に関して、ついに共犯とされなかった。しかし、３か月後には投獄され、余生１８年の半分を刑務所で暮らす。１９４７年１月２５日、性病に身も心も侵され睡眠中に死亡。

さてさて、ジャック・ニコルソンの登場シーンはと言うと、たったの３シーンのみで（私が気付いた限り）正面からの引きの映像はなし。セリフはたった一言。「ニンニクだ、あれで敗血症になって死ぬ」だけ（汗）。役名もついていないような端役なので、当然、クレジットなし。う〜ん、どうなんだろ？コーマンが監督としてメジャー進出を狙った映画で、こんなチョイ役しか与えられなかったとは・・・・。ジャック・ファンには少々物足りない作品である。