黄昏に燃えて

作品情報

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黄昏に燃えてでのジャック・ニコルソン

原題 :Ironweed
監督:ヘクトール・バベンコ
原案:ウィリアム・ケネディ
脚本:ウィリアム・ケネディ
撮影:ラウロ・エスコレル
音楽:ジョン・モリス
美術:ロバート・ゲラ
上映時間:143分
1987年/アメリカ映画
出演:ジャック・ニコルソン、メリル・ストリープ、キャロル・ベイカー、マイケル・オキーフ、フレッド・グウィン

ニューヨーク州オールバニー、1938年。冷たい風が路上のゴミを巻き上げる街で必死に生き延びようとするホームレスの男。彼の名はフランシス・フェラン(ジャック・ニコルソン)。白髪交じりの髭とボロボロの服、目深に被った帽子の下には憔悴した顔。彼が家を出てから22年が経ちました。フランシスを放浪生活へと駆り立てたのは、生後13日の我が子を床に落として死なせてしまったことへの罪悪感です。それまでは野球チーム”ワシントン・セネタース”の選手として活躍していました。

黄昏に燃えてでのメリル・ストリープ

フランシスには半ば腐れ縁のヘレン(メリル・ストリープ)がいます。彼女は才能ある歌手でしたがアルコールに溺れ社会から脱落しました。人生に絶望した女は言います。「悲しいのよ、良いことは何もない。人は人生が耐えられなくなって、それで死ぬのよ。死ねる時に死ぬのよ。」暗闇の淵に落ち込んだ者の悟りでしょうか。それでも時々見せる純真無垢な表情が余計に哀れを誘います。

犯した罪がフランシスの心に重くのしかかり、過去の亡霊として姿を現します。それが幻覚であろうとも、頭に浮かぶ事はどんな事でも真実だと考えてしまう・・・繊細ゆえに、内へと向かう痛みを感じるのでしょうね。

黄昏に燃えて

この映画は全編を通じ、まるで深海の水圧を思わせるような、どんなにあがいても過去から抜け出しようのない暗さにおおわれています。あがけばあがくほど自分の心を破裂させるだけ。罪悪感と絶望感に溢れた記憶の重圧・・・。フランシスとヘレンの心情は冷え冷えとした寒色で彩られており、暖色の色彩をもつ家族との対面シーンでさえ、寒色の色彩構成のなかにうまくはまって不調和な感じを受けません。ジャックが犯した罪に苛まれる男、過去を捨てきれない男を哀愁たっぷりに演じています。

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作品INDEX】

リトル・ショップ・オブ・ホラーズ(60)
忍者と悪女(63)
古城の亡霊(63)
旋風の中に馬を進めろ(66)
銃撃(66)
爆走!ヘルズ・エンジェルス(67)
聖バレンタインの虐殺/マシンガン・シティ(67)
白昼の幻想(67)
ジャック・ニコルソンの嵐の青春(68)
イージー・ライダー(69)
晴れた日に永遠が見える(70)
ファイブ・イージー・ピーセス(70)
愛の狩人(71)
キング・オブ・マーヴィン・ガーデン(72)
さらば冬のかもめ(73)
チャイナタウン(74)
さすらいの二人(75)
Tommy/トミー(75)
おかしなレディ・キラー(75)
カッコーの巣の上で(75)
ミズーリ・ブレイク(76)
ゴーイング・サウス(78)
シャイニング(80)
郵便配達は二度ベルを鳴らす(81)
レッズ(81)
ボーダー(81)
愛と追憶の日々(83)
女と男の名誉(85)
心みだれて(86)
イーストウィックの魔女たち(87)
ブロードキャスト・ニュース(87)
黄昏に燃えて(87)
バットマン(89)
黄昏のチャイナタウン(90)
お気にめすまま(92)
ア・フュー・グッドメン(92)
ホッファ(92)
ウルフ(94)
クロッシング・ガード(95)
マーズ・アタック!(96)
ブラッド&ワイン(96)
夕べの星(96)
恋愛小説家(97)
プレッジ(01)
くたばれ!ハリウッド(02)
アバウト・シュミット(02)
N.Y.式ハッピー・セラピー(03)
恋愛適齢期(03)
ディパーテッド(06)
最高の人生の見つけ方(08)
幸せの始まりは(10)