イージー・ライダー

作品情報

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イージー・ライダーのバイクシーン


原題:EASY RIDER
監督: デニス・ホッパー
製作: ピーター・フォンダ
脚本: ピーター・フォンダ、デニス・ホッパー、テリー・サザーン
撮影: ラズロ・コヴァックス
音楽: ザ・バーズ
上映時間:95分
1969年/アメリカ映画
出演: ピーター・フォンダ、デニス・ホッパー、アントニオ・メンドーサ、ジャック・ニコルソン、カレン・ブラック 、ルーク・アスキュー、ロバート・ウォーカー・Jr

映画は麻薬売買のシーンで幕をあけます。この取引で大金を得たキャプテン・アメリカ(ピーター・フォンダ)とビリー(デニス・ホッパー)。新しく手に入れたバイクで、謝肉祭をめざして旅をする、アウトローのロード・ムービーです。キャプテン・アメリカがいざ出発の時、はめていた腕時計をはずし道に投げ捨てるシーンは、あまりにも有名ですね。俺たちは自由なんだ。俺たちを束縛するものは何もない・・・。バイクを走らせ始めてからしばらくしてPETER・FONDADENNIS・HOPPERの文字とふたりのアップが映し出され、ステッペンウルフの「ワイルドでいこう」が流れ、いざ、ニューオリンズへ。

この映画はビリーたちと旅の先々で出逢った人たちとの交流を通して、アメリカの現実を描き出すという手法をとっています。ということで、彼らが遭遇した人々を挙げていきます。

@彼らの宿泊を拒否したモーテルの主人。
A先住民と結婚し子をもうけ、荒野に根付いた男とそのファミリー。
Bヒッチハイカーの住むコミューンの人々。なんとも奇妙な共同生活を送っています。
C市民自由連盟の酔いどれ弁護士。彼こそジャック・ニコルソン演じるジョージです。支配者階級に属する人間なのになんとなく外れていて、人の気持ちがわかる人間という設定です。
Dヒッピーを毛嫌いし、排除しようとするカフェの男性たち。それとは対照的に、ヒッピーへ羨望の眼差しを向ける若い女の子ら。
E謝肉祭に日に出逢った娼婦たち。

イージー・ライダーのジャック・ニコルソン1

カフェでビリーたちと出くわす男たちは保守的なアメリカ人ですから、ヒッピーなんて、絶対に許せない。自由の国アメリカという大義の裏に隠れている排他的な気質なのかもしれませんね。ヒッピーを毛嫌いするということは、自由を恐れる深層心理から生じる感情なのでしょう。この辺のことは、劇中、ジョージが代弁者となり、映画の主題を語っています。キャンプ・ファイヤーのシーンで、3人が世界の問題について語り、討論するくだりです。

「彼らが恐れているのは、君が象徴しているものさ。長髪が目障りなだけさ」
「君に自由を見るのさ。自由を説く事と自由である事は別」
「カネで動く者は、自由になれない。アメリカ人は自由を証明するためなら殺人も平気さ」
「個人の自由については、いくらでも喋るが、自由な奴を見るのは恐い」

イージー・ライダーのジャック・ニコルソン2

ジャックは、本作での熱演が高い評価を受け、アカデミー助演男優賞にノミネートされました。それほど、迫真の演技だったのですが、後日談によると本当にラリっていたらしいです。確かに、目の焦点がすわってなくて、限りなく怪しい〜感じ。お酒を飲む時「ニッ、ニッ、ニッ」と奇声を発し、脇を開いたり閉じたりする動作も可笑しかったなぁ。ジャックに限らず、出演者みんなでラリッていたらしいです。多くのシーンはアドリブで撮影し、現地の一般人を起用したとか・・・かなり自由というか、ラフに作ったそうですよ。デニスが監督と脚本。P・フォンダは制作と脚本。彼らがやりたい放題で作ったものがアメリカン・ニューシネマの最高峰と称される伝説の映画になったということ?(笑)。

ジャック・ニコルソンはカフェにいた男たちによって殴り殺されるシーンをもって出番を終えます。残されたキャプテン・アメリカとビリーは旅を続け、ジョージの弔いとして娼婦とともに完全な恍惚の世界へと入り込むのですが、彼らの肉体の消滅は、すぐそこに迫っていました。汚れた世界の自由は敗れ去るしかないのです。

映画というものは(程度の差こそあるけれど)虚の部分で成り立つもの。現実逃避の虚を求めて、人々は映画に群がっているのかもしれませんね。その中にあって、本作は妙にリアルです。当時のアメリカは病んでいました。60年代の後半・・・ベトナム戦争が暴力的な熱気をもって見られていた時代・・・「イージー・ライダー」は、あの時代のムードを反映していたが故に、あの時代を代表する映画となり得たのでしょう。

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ジャック・ニコルソンの館

作品INDEX】

リトル・ショップ・オブ・ホラーズ(60)
忍者と悪女(63)
古城の亡霊(63)
旋風の中に馬を進めろ(66)
銃撃(66)
爆走!ヘルズ・エンジェルス(67)
聖バレンタインの虐殺/マシンガン・シティ(67)
白昼の幻想(67)
ジャック・ニコルソンの嵐の青春(68)
イージー・ライダー(69)
晴れた日に永遠が見える(70)
ファイブ・イージー・ピーセス(70)
愛の狩人(71)
キング・オブ・マーヴィン・ガーデン(72)
さらば冬のかもめ(73)
チャイナタウン(74)
さすらいの二人(75)
Tommy/トミー(75)
おかしなレディ・キラー(75)
カッコーの巣の上で(75)
ミズーリ・ブレイク(76)
ラスト・タイクーン(76)
ゴーイング・サウス(78)
シャイニング(80)
郵便配達は二度ベルを鳴らす(81)
レッズ(81)
ボーダー(81)
愛と追憶の日々(83)
女と男の名誉(85)
心みだれて(86)
イーストウィックの魔女たち(87)
ブロードキャスト・ニュース(87)
黄昏に燃えて(87)
バットマン(89)
黄昏のチャイナタウン(90)
お気にめすまま(92)
ア・フュー・グッドメン(92)
ホッファ(92)
ウルフ(94)
クロッシング・ガード(95)
マーズ・アタック!(96)
ブラッド&ワイン(96)
夕べの星(96)
恋愛小説家(97)
プレッジ(01)
くたばれ!ハリウッド(02)
アバウト・シュミット(02)
N.Y.式ハッピー・セラピー(03)
恋愛適齢期(03)
ディパーテッド(06)
最高の人生の見つけ方(08)
幸せの始まりは(10)