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ミッドウェイ

太平洋戦争時の日本軍の全般作戦の地図を見ていただきたい。ミッドウェイ(ミッドウェーと表記する場合もあるが、映画のタイトルに合わせ、以下、ミッドウェイとする。)はアメリカと日本の中間点、ロサンジェルスと東京にほぼ並行して位置している小さな島で、近くにはハワイがある。1942年6月、ミッドウェイ沖にて日米両海軍の大海戦があった。日本海軍は圧倒的な兵力を有していたにも拘わらず、たった三隻の空母を主体にしただけのアメリカ海軍に敗れてしまう。真珠湾攻撃以来六か月、破竹の快進撃を続けてきた日本の大敗北。これ以降、戦局は大きく逆転し、日本は局地的な勝利を収めることはあっても戦局をばん回するには至らず、敗戦への道を進む。本作は太平洋戦争のターニング・ポイントを言われるミッドウェイ海戦を、日米双方の視点から描いた戦争スペクタクルである。

ミッドウェイ

なぜ、日本は負けアメリカが勝ったのか・・・・映画『ミッドウェイ』は、この謎解きを史実に沿って伝えている。アメリカ側のミッドウェイ海戦の資料は数多くあるだろうが、日本側を描くにあたっては相当な苦労があったのではなかろうか。日本は悪玉、アメリカが善玉という描き方をせず、非常にフェアな捉え方をしている。真珠湾で「騙し打ち」を仕掛けた司令官・山本五十六を重厚な軍人として登場させるあたりは、勝った国の余裕だろう。この映画が作られたのは1976年、戦後30年しか経ってないのに、これほど冷静にあの戦争を見ているところに感心する。30年も経ったと見るべきかもしれない。

ミッドウェイ

日本側は山本五十六に三船敏郎、アメリカ側はチャールトン・ヘストン(ガース大佐)、ヘンリー・フォンダ(ニミッツ大将)、ジェームズ・コバーン(マドックス准将)、グレン・フォード(スブルアンス少将)、ロバート・ミッチャム(ハルゼー中将)らが出演している。日本側の南雲中将、近藤中将、細萱中将、宇垣少将、山口多聞少将を演じているのは日系二世のアメリカ人俳優たち。ひんぱんに日本側とアメリカ側のシーンが交互に出るが、アメリカ人と日本人の違いが面白い。日本は規律正しく動くのに対し、アメリカは一人一人が自由に動きまわっている。

豪華キャストもさることながら、一番の見せ場はスリリングな空中戦だ。冒頭、断り書きとして「第二次世界大戦の実録映像と特撮シーンを組み合わせた」とある。16mmのオリジナル映像を35mmに引き伸ばし利用したそうだ。実際の戦争画像と特撮画像を融合させるのは大変な作業で、まず映画の画像の質を落とし、オリジナル画像を入れても滑稽にならないようにしたとのこと。ジョン・フォード監督は戦争の記録映画を製作していた時があるから、フォード監督が撮った映像が使われているかもしれない。被弾し落下する飛行機の映像がリアルなのは記録フィルムを使ったからだろう。

映画に出てくる飛行機を、最近仕入れた俄か知識を駆使して拾ってみる。日本側は零式三座水上偵察機、戦闘機零戦二一型、九九式艦上爆撃機(急降下爆撃機)、九七式艦上攻撃機(800K魚雷と800K爆弾を搭載)、アメリカ側はカタリナ飛行艇、戦闘機グラマンF4Fワイルドキャット、SBDドーントレス艦上爆撃機(急降下爆撃機)、TBDデバステーター艦上攻撃機(魚雷搭載)。

ミッドウェイ海戦の勝敗を分けた要因の一つにあげられるのが、九七式艦上攻撃機と九九式艦上爆撃機の兵装変更。(兵装変更とは陸上爆弾と艦船用爆弾の積み替え作業を指す言葉)。山本長官や南雲中将、宇垣参謀長らはミッドウェイにアメリカの空母がいないことを想定して作戦を立案した。まさかアメリカが待ち伏せしているとは夢にも思っていなかったのだ。ところがいた!空母の攻撃には艦船用爆弾が有効であるから兵装変更が必要になる。この作業に手間取っている時に敵の攻撃を受け、赤城・加賀・蒼竜が沈められ、少し遅れて飛竜も海の藻くずと化した。

日本軍は優勢な艦隊を持っていたのに、どうして敗れたのか。その敗因は第一に日本側の計画をアメリカ側はあらかじめ知っていたことにある。ニミッツは暗号の解読によって日本艦隊の編成、攻撃目標を知っており、奇襲をおこなおうとして逆に奇襲を受けてしまった。また、ミッドウェー作戦はきわめて複雑で柔軟性を欠いていた。もし、南雲が敵機の来襲を早期に知っていたら・・・・もし、兵装を変更せず爆撃機と攻撃機を発艦させていたら・・・・。日本は攻撃優先に走り、索敵に対して認識不足があったことも否めない。戦い終わってニミッツが言う。「アメリカの方がよりラッキーだった」運、不運はあったにしても「負けに不思議の負けなし」(by野村監督)通り、日本軍は負けるべくして負けたのだと思う。

【作品情報】
原題:MIDWAY
製作:ウォルター・ミリッシュ
監督:ジャック・スマイト
脚本:ドナルド・S・サンフォード
撮影:ハリー・ストラドリングJr.
音楽:ジョン・ウィリアムズ
製作国:1976年アメリカ映画
上映時間:2時間11分

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