ジャック・ニコルソンの館/映画感想 TOP |
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ジャック・ニコルソン出演映画
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ワルキューレ 凄く難しかったです。ドイツについて深く知っている人か、もしくは全然知らない人が楽しめる映画ではないでしょうか。浅い知識しか持ち合わせない私には???だらけでした。上の写真1枚とってもわからない。例えば、ここに写っている人たち(映画の1シーン)。この中でわかるのは背広姿のヒトラー、ヒトラーの左に座っているカーキ色の服にナチの腕章をつけているのがゲッベルス。ヒトラーの右隣りに立っているのが親衛隊の制服姿のヒムラー。後は誰よ?一番右もナチ党員だけれども名前がわからない。国防軍の軍服を着ている連中は誰ひとりわかりません。という風に知っているようで知らない第三帝国(汗)。 ワルキューレというのはヒトラーの危機管理システムのコード名だそうです。そんな名前は聞いたこともなかった(汗)。ただ、1944年の夏にあった「七月二十日事件」と呼ばれる、反ナチ派将校によるヒトラー暗殺計画は、かろうじて知っておりました。本作はこのクーデター事件を扱った映画です。私は「七月二十日事件」は「二・二六事件」のような若手将校による決起だと認識していたものですから、クーデターを企てる秘密会議に国防軍の大将クラスが参加しているのにまず、驚きました。トム・クルーズ演じるシュタウフェンベルク大佐の動機もよくわからない・・・・。映画では正義だのユダヤ人問題だのを持ち出しているのですが、そんなこと言うから訳がわからなくなるんだよ~(怒)。私たちはヒトラーとナチスの末路を知っているから、反ナチ行動は正義だと言えるのであって、当時(特に軍人の場合)は国際法上は反逆罪だと思うのですよね。自分の無知を棚に上げて言わせていただくならば、前半部分は説明不足の感あり・・・です。 そんなこんなで消化不良のまま、劇場を後にしたのです。そこで本棚からヒトラー関連の本を引っ張り出し(なぜか、我が家にはヒトラー本が多い・汗)「七月二十日事件」について調べていくうち、映画の様々なシーンは史実に基づいており、歴史学者の中で争点となっている事柄を描いた深い作品だとわかった次第です。史実に興味がない人にはサスペンスとして楽しめる作り方をしていますしね。歴史問題として見るならば、国防軍とナチズムを考えなければならない。となると、第一次世界大戦まで遡り国防軍の歴史をたどる必要があります。細かくは書きませんが、要は国防軍の中には非ナチ派と親ナチ派がいたということです。ヒトラーが国防軍を組織したのではありません。国防軍は第一次大戦後に結ばれた講和条約によって誕生しました。(日本の自衛隊みたいなもの)やがて経済恐慌を背景に講和条約の破棄と再軍備を主張するナチス党が躍進した時、少なからぬ将校はヒトラーに好意をいだき、その逆の考えを持つ将校もいたのです。 ということで言えば、「ワルキューレ作戦」は正義の名の下に行われたクーデター計画ではないような気がするのですが・・・・。ヒトラーを暗殺することが主目的ではなく、非ナチ派の思惑は自分たちの政権を樹立することにあったのでしょうね。だからヒトラー暗殺が成功したとしても、それがただちに蜂起の成功を意味するわけではない。そこで「ワルキューレ作戦」を利用しようと画策したのでしょう。もしヒトラーが爆殺されていたら・・・?ドイツの終戦が早まっていたかもしれないし、内乱状態に陥ってしまったかもしれないのです。しかしヒトラー政権の基盤は固く、その身辺は厳重に警戒されていたので彼が暗殺されるようなことはなかったでしょうけれど。クーデターの失敗は多数の必然と少数の偶然が重なった結果と言えそうです。ただ、きわめて困難な状況のなかでシュタウフェンベルク大佐らが示した勇気と洞察力、自己犠牲の精神には拍手を送りたいです。 【作品情報】 原題:Valkyrie 監督:ブライアン・シンガー 脚本:クリストファー・マッカリー、ネイサン・アレクサンダー 製作:ブライアン・シンガー、クリストファー・マッカリー、ギルバート・アドラー 製作総指揮:クリス・リー、ケン・カミンス、ダニエル・M・シャイダー、ドワイト・C・シェアー、マーク・シャピロ 撮影:ニュートン・トーマス・シーゲル 音楽・編集:ジョン・オットマン 美術:リリー・キルバート 製作国:2008年アメリカ映画 上映時間:2時間 出演:トム・クルーズ、ケネス・ブラナー、ビル・ナイ、トム・ウィルキンソン、カリス・ファン・ハウテン、トーマス・クレッチマン、テレンス・スタンプ、エディ・イザード、ケビン・マクナリー、クリスチャン・ベルケル、ジェイミー・パーカー、デビッド・バンバー、トム・ホランダー、デビッド・スコフィールド、ケネス・クランハム、ハリナ・ライン、ベルナー・ダーエン、ハーベイ・フリードマン |