夢(デジャブ?)のセカンドシステム

CDプレーヤー   :Wadia 850
パワーアンプ   :Mark Levinson 29L
スピーカー    :LS3/5a
スピーカースタンド:Target R2

スタンド以外は使ったことのあるものばかりで構成しました。
実際には時期がずれていたり、CDプレーヤーはDA部が同じ6iだったり
します。

ありがちな話しかも知れませんが、友人から
「あの頃の音は凄かった」(凄い:恐ろしくて寒気がする様子)
と言われ続けています。その音を再現しようというシステムです。

打ち込み系や熱いジャズなど、超攻撃的で胃が痛くなるはずです(^^)


CDトランスポート : ENSEMBLE DICHRONO DRIVE
D/A コンバーター : ENSEMBLE DICHRONO DAC
SACDプレーヤー  : SONY SCD-1
プリアンプ    : JEFF ROWLAND COHERENCE
パワーアンプ : JEFF ROWLAND 8SP
スピーカー : WILSON BENESCH BISHOP
アナログケーブル : CARDAS HEXLINK 5C
デジタルケーブル : ENSEMBLE GIGA FLAX

ラック      : GOLDMUND MIMESIS RACK
室内の調音    : ROOM TUNE CORNER TUNE , ECHO TUNE
椅子       : SONUS FABER CHAIR
部屋     : 8畳板敷

システムの音の傾向:「堅く重く速い音」を目指しています。
何でもかんでもそう鳴るのではなくて、ソースが要求した時に出て欲しいということです。

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1999年10月 高野さんのサウンドを体験した、小林悟朗さんからのコメント(抜粋)

若い方で、こんなにもピュア・オーディオに熱くなっている人がいる!そのことがとても嬉しい。
聴かせていただいた音については、いろいろ考えさせられたが、昔、五味康祐さんが書かれていた「小人珠をいだきて罪あり」というような感想を受けた。素晴らしい機械群が高野さんの望む方向で、瑞々しく素直でくせのない音色で映像的と言えるほどステレオイメージのくっきりしたサウンドに調整されており、エキセントリックという印象は全くない。つまり私が感じたのは、現在鳴らしている音もとても素敵なのだがシステムを構成する機械全体のポテンシャルはさらに高いのではないだろうか?ということである。

ビショップは一聴して素晴らしいスピーカーだと思った。いらぬお節介だがあとはあまり機械を買い換えないで、

このスピーカーは(アンプは)どのような音で鳴りたがっているのか?
このCDの演奏者、制作者はどのような音で聴いて欲しいと願っているのか?
そんな視点でも耳を傾けてほしいし、レコードや機械と対話してほしいと思う。

高野さんが聴かせてくれた個別の音楽の感想はその都度言ったので、いざ文字で書くと抽象的でお説教臭くなってしまった。やはり加齢現象ですね。


1999年12月28日 高野さんの家に行ってきた。           山本耕司

高野さんの音は写真から想像する通り、縦にデフォルメされている。背の高いSPを極めて近距離できくので、当然と言えば当然なのだが、音は高いところに定位しがちだ。SPの外側からきこえるソースもあるが、それも限度があるので、見上げるような角度で音楽をきく事になる。生のオーケストラなら、一番前の席できけば左右は大変広くきこえるが、オーディオだとそうはならず、縦長のオーケストラが出現する事になる。まったく別の言い方をすると、すごく巨大な、部屋の大きさのヘッドフォンできいているような感じを受けた。

高野さんは「背が高いSPに合わせて、もう少し背の高い椅子の導入を考えている」そうだ。その気持もわからなくはないけど、本当にそれでいいのだろうか? ヘッドフォンをちょっとずらすだけなんて事はないのだろうか。いずれにしても、背の高いSPを至近距離できいて、椅子を高くしてる状態を第三者的に横から眺める図を想像して欲しい。なんかヘンじゃないか?

高価なSPにきわめて高価な装置をあてがい、かなり狭い部屋できいているのだが、どう手を尽くしても、のびのびと鳴るわけはない。高性能機器であるからこそのさまざまな破綻要素が高野さんを襲い、それを彼なりにまとめているのだろう。実際、良くまとまった音で、野放図なところや、やりすぎって事はなく鳴っているので、かえって苦労がしのばれる。激しさ、熱さ、暑苦しさ、遊び(ゆとり、いい加減さ)は感じられず、生真面目で優等生的なサウンドだ。もっと普通のSP、例えばボレロとかAE1あたりならさぞかし楽しかろうと思ってしまう。

全体的に超高密度なコンピュータグラフィックス的美女を見るような感じがした。清潔、潔癖で曖昧さがなく温度感は低いから生命感が乏しい。高野さんは「低域のスピード感が揃わないのはイヤだ」と言う。それは優先順位として非常に上位らしく、その結果、ビヨークの「ホモジェニック」は最初から最後まで音が膨らまずに楽しめるし、長谷川陽子のコダーイをきけば「呼吸音、衣擦れ、唇の動き、歯をくいしばる感じ」までききとれる。これはこれでここを楽しんでいるのだと言われれば、僕は「そういうのがきこえるとオーディオマニア冥利に尽きる」っていう意見の一致もある。でも、もう一方で「だからなんなんだよ」って言う人がいたら「確かにそれと音楽は関係ない、女子マラソンで優勝する日本人選手を美しいと思わないが、6位のロバは美しい」という僕もいる。

最後に僕も持っているCD、ポゴレリチが演奏する「ショパンのプレリュード」をきかせてもらった。僕は「ちょっとキンキンしていて、低域の量感が足らない」と感じた。これではグランドピアノがアップライトになってしまっている。山本剛の「ミスティ」では、「こんな音入っていたの?」というぐらいの重低音が再生されていたから、そこよりは上の帯域(多分60Hz〜130Hzあたり)が薄いようだ。低域が出ればバランスがとれて高域のピークは問題無しかも知れないし、やっぱり少しは押さえた方が良いのかも知れない。そう言うと高野さんは「量ではなく質を問題にはしないのか?」と言う。僕はこの事に関しては質以前の問題だと思う。いくら美味でも、ある程度のボリュームが無ければ満足は出来ない。ミニSPならともかく、Bishopなら本来難なく出て然るべきものだ。

一言で言えば鳴らし込み不足のサウンドで音が堅く青いのだが、高野さんから見ればこれでもさまざまな変化を経てここまできたという事になるのだろう。僕は第三者だから「こいつは毎日ガンガン鳴らしてもあと4年ぐらいかかりそうだ」と思ってしまう。僕なら(多分富田さんも)SPに対して、ありとあらゆる刺激を与え続けるだろう。しばらくパラメトリックイコライザで無理にでも足らない低音を出してみるとか、LPを(プレーヤーなんか安いものでいい)かけてみるとか、手をかえ品をかえしてBishopを調教する事だろう。だから、「今、僕の所に使っていないパラメトリックイコライザがあるから、しばらくの間貸してあげましょうか?」と再び申し出たのだが、高野さんの答えは再び「NO THANK YOU」だった。そうか、無理にどうこうするものでもないし、じゃあまあ、高野さんなりにやってくれや、このサウンドに約1000万の価値があるかどうかを決めるのは本人だし、別に今がきくに耐えない悪い音だってわけじゃない。ウーハーが動いてないんじゃない?って言ったところで、本人がそう感じなければどうにもならない。なまじウーハーが動けば低域のスピード感が揃わず困るかも知れない。高野さんはオーディオに対してすごく一生懸命で、色んな人の装置をきいて歩いているわけで、それは少なからず現在のサウンドにも反映されている筈だ。その上で高野さんがほぼ満足してるらしい状態にあれこれ言っても意味はない。それぞれみんな自分の装置が一番かわいくて、一番いい音だもんね。


山本さま
 
昨日はお疲れさまでした。予想通り、あまり山本さんをインスパイアできなかったみたいで残念でした。私の音の感想、興味深く読ませていただきました。サイト内の、
山本さんの音に対する私のコメントと好一対になっており、比べて読むとなかなか楽しめる良いコンテンツになったのではないでしょうか。その意味ではわざわざ遠くまで来ていただいて良かったのではないかと思います。
パラメの件は、ありがたいお言葉を断り、申し訳ないです。機器以前の問題です。現用のHexlink以外の電源およびラインケーブルが入ると、ただそれだけでバランスが崩れ、まじめに取り組む気持ちがなくなるのは明らかです。そんな状況になるのがわかっていて機器をお借りする訳にはいきません。ケーブルへの拘りがこのようにバカらしいことをお笑いください。
 
高野昌樹


オーディオもある程度以上は一筋縄ではいかないのだろう。僕は自分の仕事場を作ってから自転車で通勤していて、楽しいので、どこへ行くのもみんな自転車で行った。早いし交通費もかからないし、慣れると坂も楽になって最高だったが、約1年半後にはかなりひどい腰痛にみまわれた。週に一度は水泳もやっていたし、どうして腰痛?って感じだったが、現実に痛いんだからどうしようもない。あれこれ対策を考えた結果、最終的には自転車を通勤だけにして、他はすべて歩く事にした。これは正解だったようで、腰痛もなおり、そして自転車のスピードも確実に上がった。

ケーブルへの拘りがこのようにバカらしいことをお笑いください。

OK、笑ってやる「わははは」とも書けるのだが、僕は自分の事に照らしあわせて上記のような事を考えた。

* 後で考えたのですが、TAPEのREC OUTとINを使って、その間にパラメトリックイコライザを挿入して、イコライザを使うときはTAPEモニターできいて、使わない時はソースできけば、現在のケーブル接続はそのままでイコライザを試すことが出来るのではないだろうか? 家にいない時だけイコライザを使い極端に低音を出した状態でCDをリピートにしておいて、ちゃんときく時はそのソースできけばいいんじゃないかなあ? 僕なら多分そうするなきっと。  (山本)


2000年2月 高野宅の音をきいた岡崎俊哉さんがくれたコメント

先日、高野さん宅に伺い、音を聴かせていただきました。何故、高野さんの音を聴かせて頂きたいと思ったのかというと、山本さんの高野さん宅の試聴記を読み、彼の音と私の音は非常に近いところにあるのではないかと思ったこと、また、ウイルソンベネッシュのビショップというスピーカーに一昨年のインターナショナルオーディオショウ以来魅せられていたため、どんな音で鳴らされているのか興味津々であったためです。
高野さんの部屋は約8畳で、オーディオ機器を含めてきれいに整理整頓されており、そんなところからも高野さんのセンスの良さが感じられました。そして、その部屋の主人は私だという感じでビショップがそびえたっていました。
いろいろなジャンルのCD、SACDを聴かせていただきました。予想は裏切られ、私の音とはあまり近い音ではありませんでした。どの音楽も非常にバランスよく鳴りました。中域から低域がやや薄い音だとは思いますが、部屋の大きさとスピーカーとの関係からみればおおむね妥当で、むしろこれ以上この帯域が出ると部屋の中で音が飽和してしまい、全体のバランスが崩れてしまうと思います。低域はスピード感があり、歯切れがよいため聴いていて快感でした。また、高域は繊細で非常に美しい音でした。
高野さんはいろいろな経験をされ、このような美しい音のバランスを整えられたのだと推測しますし、確かにそのご苦労が偲ばれる音なのですが、どうも全体としての印象ではパッシブな音に感じてしまうのです。最近、やはり、”音は人なり”かな、などと考え始めた私からすればどうもあまり高野さんという人が見えてこない音のような気がしました。バランスは整っていてもまだまだビショップの音のように感じました。まだ、ビショップを使われて間もないようですので、これからゆっくりこのスピーカーと格闘してもらいたいと思います。相手にとっては不足はないどころか、かなり手強い相手とお見受けしました。そして、その格闘こそが高野さんの音響人生を楽しく彩ってくれると思います。だって我々は音楽Fanであるとともにオーディオマニアという稀少生物なのですから。


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