山本様

ずーっと考えておりましたセカンドオーディオ、遅くなりましたが、以下のよう
なものを考えてみました。いろいろ考えておりましたら、何と3つになってしま
いました。何卒、ご寛容くださいませ。

セカンド・オーディオ1
アナログ  Immedia RPM-1Ti MkII + Lyra Clavis + ML-25SL
CD  Meta Research Laser II+Pass Lab D1
プリアンプ Krell PAM-2
アンプ   Threshold SA-4/E
スピーカー Reference3A Suprema II

力感があり、ハイスピードで切れのいい、躍動感のある音を大音量で聴きたいで
す。動的要素を重視したストレス解消バージョンです。現行システムより、シン
プルで、潔く、男らしくていいかもしれません。

セカンドオーディオ2(コンパクト)
CD:Goldmund SR CD/DVD Evo +Stellavox ST2
プリ:Goldmund MM2+
パワー:Cello Encore 50 Mono
スピーカー:Red Rose Rosebud II(French Sycamore)+Audio Anchor 4P
stands

これは手元に置きたい小さ目のデザイン重視のシステムです。これの方がセカン
ドオーディオらしいですね。深夜に静かに、また映像も楽しみたいです。

番外編 セカンドオーディオ3 (SACDマルチ)
SACDマルチ:SONY XA777ES
プリEQ:Tact TCS
アンプ:Cello Encore Mono 150(メインSP用)
SP:メインCello Strad Master
  リア Cello Serafin(Active)
Subwoofer:REL StudiumII

番外編でSACDマルチを考えてみました。TactのTCSが要で、リアSPはEncore級バ
イ・アンプ内蔵のアクティブ型とし、メインSP用のEncore150と整合させるよう
にしました。ただ、これでうまくいくか、とりわけTactのTCSがうまく機能する
かは、当たって砕けろ状態です。マルチのため、予算は度外視しております。


現行システムは次の通りです。米国のAudiophileの影響を受けており、日本にいればかなり違う構成になったと思います。

Analog : Goldmund Studio + T3F +Lyra Helikon / Micro SX-1500FVG + FR-64+ Cello Chorale, etc.
Digital : Theta Carmen DVD / Wadia WT-2000 modified + dCS Delius
Preamp: Mark Levinson LNP-2 / ML-1L (Viola module)
EQ: Cello Audio Palette MIV
Speaker : Cello Serafin + Entec LF20 + Tannoy ST-200

音と音の間に深い広がりがあるような透明で深みのある音場が好きで、そこにはっと現れる音像にリアルさとある種の美しさを感じ、それらを求めていった結果のシステムと言えるかも知れません。EQと電源(PS Audio P-300,XE-12)は重要な役割を果たしています。
セカンド・オーディオもリアルで深みのある音を狙っていますが、力感と躍動感重視、現行システムは、狙いであるリアルさと深みに加え、緻密さや透明さのある落ちついた音になっているかもしれません。
EQは、想像していた以上に影響が大きくて、ソフトにより、ある周波数帯域が音場の奥行きや音像の立体感にとって大きな要素になり得るといったことも使い始めて分かりました。現在の部屋は12畳でオーディオ専用。ソファーと機器だけを置いて好きなように使えるのは、有り難いことです。
また、アメリカのAudiophileにかなり影響を受けており、AudioをBig BoyのToyとして無邪気に夢中になっている彼らを見るのは非常に楽しく、そんな楽しみ方を知ったことはAudioをやる一つのエネルギー源になっています。

             鹿野啓一  


オーディオベーシック誌で、川崎さんからバトンタッチしてアメリカでのオーディオ生活をレポートしてくれている鹿野啓一さんの架空セカンド、サード、ホーム? システムです。近い将来帰国の噂もあり、日本で現行システムを維持できるかどうかはわからないので、意外に現実味のあるシステムも含まれていたりするのでしょうか。しかし、鹿野さんも欲張りだなあ。(山本)
鹿野さんの音

鹿野さんは、私がシカゴ郊外に住んでいた時にNYからメールを下さったのが最初で、その後、なんと我が家から車で10分の距離に越して来られました。私が日本に帰国するまでの半年間、二人で山本一派シカゴ支部を自負していた間柄です。
最初に聴きに伺った時はまだ音は試運転の段階でしたが、その時に聴かせて頂いた「鬼束ちひろ」は、本当に衝撃的でした。それから半年後、私が米国を離れる直前に聴かせて頂いた頃には、サウンドバランスが改善され、エネルギー感が加わった更に上の音でしたが、鹿野サウンドの真骨頂は、この最初の「鬼束ちひろ」で既に聴き取ることができたように思います。鹿野さんのシステムの音、とりわけ女性ボーカルは、魅力的で、いつ聴いても背中がゾクゾクしました。音の当たりは非常に柔らかく、ふわっとして優しいのですが、音のエッジは鋭く立っていて、硬質な鉛筆でしっかりと輪郭を描いたかのようです。この音触(菅野さん風ですが)の硬と軟の絶妙なバランスは、他の場所ではなかなか聴くことができないユニークで卓越した表現だと思います。そして、ゆるぎない定位や音場感の優秀さが印象的です。音の色は、私にとっては、どちらかと言えばやや暗めで、モニター調に若干乾いており、ECMの録音等が似合うクールな方向だと感じました。しかし、虚飾を配した自然な音調で、十分な情報量があり、演奏の気配や間と言った微細なニュアンスを大変よく伝えます。スケール感やダイナミック感という要素よりは、陰影やグラデーションの美しさ、音の綾の妖しさに耳を奪われる性格の音だと思います。CDのことばかり書いているようですが、実は、鹿野さんの最も優れた演奏はLPから聴けたことも付記しておきます。
私の音は、これに比べると、基本的にストレートで楽天的な陽性の音調であり、もしかしたらある意味で鹿野サウンドの対極にあるのかもしれません。しかし、ないものねだりと思いながらも、鹿野さんの風味を加えようと、日々努力しています。私の勝手な感想としては、鹿野さんは小編成曲がお好きで、従って小編成曲の再生が得意であり、私は大編成曲が好きで大編成曲が得意であって、お互いに相手の良いところを自分の音に取り入れようとしていたように思うのです。間違っていたらごめんなさい。
鹿野さんのアプローチは大変学究的、論理的ですが、実践においても、わずかな音の差異を聞き逃さない非常に鋭い耳を持っておられ、更には、それを的確に言葉で表現することができる方です。鹿野さんと一緒に鑑賞し、音の話、音楽の話をするのは大変刺激的で楽しいひとときでした。日本での再会、そして交流を今から楽しみにしています。

2002年10月20日 川崎一彦



 Jimさん来訪記

現CelloのCEOであるJimさんから、新アンプ・ラプソディーの発表のために2月8日9日に大阪を訪問するとの連絡がありました。代理店のセミナーへの出席のためですが、時間が合えば会いましょうかということで、セミナーの終了後にという話になりました。折角来ていただくのだから音も聴いてもらって、日本のオーディオ・ファイルがどんな感じでオーディオを楽しんでいるのかということも知ってもらおうと考えました。何しろ私は今年の1月に帰国したばかりで、Jimさんの来日までに船便の機器が届くかどうか分からない状況、音もどうなることやら分かりません。そこで、先に大阪に帰国されたシカゴ同好会の川崎さんに協力を依頼しました。当日、午後3時のセミナー終了後、車で川崎邸に、その後私の家に移動して、皆で一緒に食事をするという計画です。終了は午後10時の予定で、駆け足の計画でしたが、川崎さんからはご快諾を頂き、早速、Jimさんにその旨を連絡しました。もちろん、K'sの川崎さんのページのHPアドレスを付け、この家だよとJimさんに伝えました。私の米国の友人は、結構、K'sのホームページを見ているはずです。

何とか無事船便が3日前に到着し、100箱近い荷物を、1日半で整理し、半分以上は箱詰めのまま一部屋に運び入れ、その中から機器・アクセサリー類を探し出し、残る1日半で機器を組み上げ(アナログはさすがに時間がありません)、2月9日の当日心斎橋までJimさんを迎えに行きました。セミナーの終了を待ち、Jimさんに会いに行き、ラプソディーを見せてもらいました。時間が気になっていた私は、そそくさとJimさんを連れ出し、阪神高速を飛ばして一路川崎邸に向かいます。道中、Celloの話を聞かせてもらい、Encoreには本体で5つ(回路上は大きくは2つ)、電源で3つのバージョン(大きくは2つ)があること、Celloではそのそれぞれを検討して、どの組み合わせがもっとも良いか調べて、新Celloの次期Encoreプリの設計に活かしていること、その過程での発見、巷で言われるような片方の回路に優位性があるという訳ではなく、組み合わせによるのだという結果等、興味深い話を聞かせてもらいました。

予定より少し早めに川崎邸に到着し、早速リビングルームを襲撃です。川崎さんは、あなたのようなプロフェッショナルから訪問を受けるのは初めてです、と挨拶され、少々緊張の面持ちです。それを横で眺めるのもちょっと楽しい私でした。システムの概略の説明が行われ、Wadia経営にタッチしたこともあるJimさんは、Wadiaにはとりわけなじみがあるようです。もちろん、Jeffのことも良く知っているようでした。川崎さんのところには、川崎さんのページにも写っているようにNAOK氏製作のインシュレーターがたくさんあるのですが、Jimさんは興味を惹かれたようで、その素材と構造を観察していました。インシュレータについてかなり持論を持っているようで、これは反対向き(ポイントの方を下に)に使ったほうがいいのではないか、とのアドバイスがありました。Celloの新プリにはどうやら特別インシュレータが装着されるようです。仕事柄、あらゆる音楽を聴いているJimさんは、ロックが好きとの事。川崎さんの音を聴いて、非常によくImageが出ているとの感想でした。確かにそのとおりです。音像がくっきりとまた重層的に浮かんでいます。また川崎邸におけるLPとCDの比較においても、LPの方がよいという点で意見が一致しました。ヨーロッパのCDと日本のCDの違いということにも触れてくれ、なかなか興味深いお話でした。私が1月に聞かせていただいてから、1月が過ぎ、2度目の川崎邸でしたが、その時にはソフトにより感じられたきつさがなくなり、特にLPはリアルな音の方向に振られて、またまたCDを凌駕し始めていました。それにしても川崎邸は止まるところを知りません。川崎さんには今回の急なお願いを引き受けていただきましたので、Jimさんの訪問が何か川崎さんにプラスになってくれたらと思っていた私は、熱心に話をされている川崎さんを見て、ほっとしました。またJimさんから“なぜJeffなんだい”という単純でありながら本質的な質問をされ、それに真剣に答えられていた川崎さんは非常に印象的で、横にいた私はそのやり取りを堪能しておりました(笑)。

あっという間に2時間ほどが過ぎ、今度は私のマンションに向かいます。部屋との相性が思いのほかよくて、当日昼間までいじって、ある時点で生半にいじると悪くなるという状態になったところで部屋を出ましたが、どうなっているでしょうか・・・機器の説明を行い、まずは食事です。食事の間中、ずっとオーディオの話で盛り上がります。とくに彼が所属したマドリガル、Cello、Wadia等の人間模様を含む話は、米国オーディオ界の内幕を垣間見せ、おおいに盛り上がり、興味を引かれました。ちなみにレビンソン氏は一部の人の間では菜食主義者とされているようですが(私もレビンソン氏と仕事をしたことがある、ある日本のアナログ機器設計者の方からそう聞いていました)、日本でも何度か質問されたそうですが、うーんそんなことはないと思うよ。肉を、少なくとも鳥肉を食べていた記憶はあるというお話でした。なお、彼は自宅ではCelloのストラドマスターを使っているとのことで、それをReferenceにラプソディーの音作りをしたそうです。食事の後、私のところの音も聴いてもらいましたが、Celloの音はやはり耳慣れているのか、すんなり聴けたようで、聴き入ってくれ、大丈夫かなあと思っていた私は正直ほっとしました。私はEntecのサブ・ウーファーをつなげていますが、Jimさんはその組み合わせに興味をもったようで、「非常にメインのSerafinとよく繋がっていて、そのお陰だろうと思うが私が使っていたSerafinよりずっとよく鳴っている」とのコメントがあり、サブとメインのクロスはどこか、と質問されたりしました。3曲ほど、私の深夜に聴くCDシリーズをお聴かせし、ついで帰国のドサクサに700ドルで仕入れたPhilipsのSACD-1000でSACDもお聴かせしました。どうも私のところはSACDの方が今のところよいようで、Jimさんもそのように思ったようです。なお、Jimさんの思うCelloの音というのは、あたかもそこで人が演奏しているかのようなリアルな音であって、しかもそれが音量を下げても失われずに再現される。そこに良さがあると思うと言われていました。マドリガルの経営者に見出され、数々の米国ハイエンドの経営にタッチし、今回、ある種、自分の人生を賭けてCelloの権利を買い取ったJimさんは、Celloの製品としての市場価値とともにやはり個人的にもCelloが好きなんだろうと思います。

最後にアドバイスをくれないかと言ったら、低域が出過ぎのように感じられるが、そのほかは、何もする必要がないよと言われました。鋭い突っ込みを覚悟し、また期待もしていた私はあれっ・・・と思ったのですが、今出ている音のいい面を捉えてくれたんだろうと思います。まだ自分でも充分に聴いていないので、段々不満が出てくると思いますが、部屋との相性はかなりよさそうで、中高域にはあまり不満がない状態で、本当にラッキーだと思います。パレットは電源部の不調のため、開梱すらせずに、プリにダイレクトでつないでいましたが、パレットを入れるときには、LNP-2はOut-putは最大にした方が概ねいいはずだよというアドバイスもくれました。それから、川崎さんの所にも私の所にもあるのを見て、日本のオーディオ・ファイルはスーパー・ツィータ好きであるという感想も持ったようです。米国ではほとんど使われていませんから、印象的だったのでしょう。…そういえば極悪人の皆さんもそろってそうですね・・・
7時間あまりJimさんと日本でご一緒できたことは、大変に刺激的で、オーディオを理解する上での大きな示唆や情報を頂いたと思います。いつか、彼の家も訪問する機会があればと思います。彼の今後の活動がより身近に、またより実感をもって理解可能になるのではないかと思います。川崎さん、このたびは私のこの無謀とも思える計画にお付き合いをいただき、本当にありがとうございました。大変楽しく過ごさせていただきました。この場をお借りし、重ねてお礼を申し上げます。

   鹿野啓一

「Jimさんの来訪と鹿野邸の音」
 鹿野さんから、「CelloのJimさんを川崎邸にお連れしたいのですけど」とのありがたいお話があり、もちろん喜んでお引き受けしました。私はCello使いではないのでJimさんとどういう話ができるか、拙宅の音をどう聴いて下さるか、ちょっぴり不安でしたが、結論から言いますと、素晴らしい夜になりました。Jimさんとの貴重な交流に加え、久しぶりに、といいますか、日本で初めて鹿野さんの音を聴いて、やはり良い刺激を受けたからです。
Jimさんは鹿野さんと我が家に午後4時過ぎにお見えになりました。米国人としては小柄で、落ち着いた静かな方、というのが第一印象です。リビングにお通しすると、システムに近寄って眺めておられます。最初に「ミッション・インポシブル」のCDの冒頭をかけると、彼は「good job」と言ってくれました。鹿野さんも「前回よりかなり良くなってますね」と言ってくれました。これで気が楽になりましたが、その後「どうしてRowlandなの?」との難しい質問を受け、しどろもどろになります。私は、米国で使用経験のあるクレル、スペクトラル、ジェフの音の印象を述べ、ジェフが一番ピッタリ来た、みたいなことを言ったのですが、Jimさんも頷いてくれましたし、「Rowlandは悪くないね」ということで何とか切り抜けられたようです(汗)。Celloじゃなくて申し訳ないです。LPもお掛けしましたが、当日はやっぱりLPはCDより上の音で鳴ったと思います。しかし、私はJimさんの横顔を見ながら、Jimさんの音の好みは私とは違うのだろうな、と思っていたのです。
あっという間に約2時間が過ぎ、鹿野さんの車で初めての鹿野邸へと向かいます。車中でのJimさんの日本の評論家との交流のお話は、裏話的で大変興味深いものでした。日本の評論家の自宅の音もよくご存知でしたが、良いと思わない音もあったそうです。急逝された友人の朝沼予史宏氏の死を悼んでおられ、またCelloの最大の理解者であった山中敬三氏の急死も大変ショックだったとのことですが、ご自身のことも含め、オーディオ業界の仕事は異常にハードで「全く身体に良くない」と断じられていたのが印象的でした。


鹿野邸は丘の上に建てられた瀟洒なマンションで、窓の外に素晴らしい夜景が広がっています。久しぶりに鹿野さんのご家族にお会いし、奥様に「日本に引越してすぐにお客さんを呼ぶなんて、とんでもないご主人ですね」と、自分が客なのをすっかり忘れておりました(苦笑)。しかし、鹿野システムは日本では大き目のサイズのリビングの一角に整然とセットされ、とても3日前にダンボールの山に埋もれた家とは思えません。小さな音でCDをかけ、ディナーになりました。リビングにシステムがあると高級なBGMが楽しめる利点があります。お料理は大変おししく、どうもご馳走様でした。食事中は主にマーク・レヴィンソン氏とその関係者の話で大変盛り上がりました。「マークだからね」というのが結論でしょうか?(笑) 食事中のデザートのショートケーキが5種類ほど登場し、Jimさんの選択を尋ねたところ、「少しずつ全部味わってみたい」とのことで、みんなでケーキから直接スプーンですくって味を品評しました。オーディオ趣味的でおかしかったです。さて、2人用のソファーにJimさんと並んで腰掛け、いよいよ鹿野システムの音を本腰を入れて聴きます。アナログはまだセットされておらず、CDとSACDを聴かせて頂きました。

何せ新しい部屋で、送り出しの機器も違えば、プリには新たにあの銘機LNP-2が使用されていて、1日半のセッティング、と私が知っている鹿野さんの音とはどう違うかと耳を構えたのですが、いやいや、流れてきた音は、これはシカゴの鹿野邸で聴いた紛れもない鹿野サウンド。Celloの美音を活かした深く陰影に富んだ音です。私とはまったく異なる性質の音であり、だからこそ惹かれる音。短い時間でしたが一通り聴いて、鹿野さんはJimさんにアドバイスを求めました。しかし、Jimさんは「こんなによく鳴っているSerafinは知らない」と満足そうでした。びびびと、お二人の間に流れる「Cello好きの電波」のようなものを感じ取って、私は嫉妬していました。好スタートを切った鹿野サウンドの今後が多いに期待されます。
どういう音を良い音と思うか、との鹿野さんの質問に、Jimさんが「そこで実際に演奏しているかのような音」と答えておられました。そして、Celloこそがそのような音に一番近いということに自信を持たれていました。私はCelloの音を、個性的でエキゾチックな音と思っていますので、このお答えは意外に思ったのですけど、考えてみれば、ブランドを担う者にとっては、それは当然の答えでしたね。ラプソディーの雄姿は最新のステレオサウンド誌の表紙を飾りました。Jimさんの新生Celloが順調に発展し、鹿野さんのようにCelloを愛する方々の夢を支えつづけていくことを祈ってやみません。鹿野さん、貴重な経験をさせて頂きました。ありがとうございました。
      川崎 一彦


「鹿野邸訪問記」

海と山に囲まれた風光明媚な場所に鹿野さんが住んでおられるマンションが有ります、その景色の見良いリビングに、まるで誂えた様に備え付けられた鹿野システム達、無骨と言えば無骨と言える機器も有るのですが、全く違和感無く収まっております。システムの前の特等席に誘われ、いざ視聴開始です。一聴してわかるのは帯域バランスの良さ、低域から高域まで滞る事無く滑らかに繋がっている印象です、少し意外でしたのが高域に時折顔を見せる強さ、ここだけやや異質で「おや?」と思っておりますと、演奏を聴いていく内に、この強い高域が爽快なアクセントとなる絶妙なタイミングで顔を出す事に気付きます。部屋が軋む低域は鹿野さん流の遊び心でしょうか、普通のソフトを演奏した時は大人しく溶け込んでいるのですが、それなりのソフトを演奏した時はズズーンと部屋に響きわたります。音場はスピーカーの前に無闇に張り出さない節度の良さ、奥行き方向に広角レンズで覗いた様な絞り込みが感じられます、音像もこの絞り込みによって奥の音は思いの外小さくなってしまうのですが、エネルギーを無駄に漏らす事無く絞り込まれて行きますので、奥に有るからと言って鮮度を失う事は有りません、むしろこのエネルギーが還元される際、心地良い浸透力となって私の心を射抜きます、音楽記号でいうp(ピアノ)やmp(メゾピアノ)、これは私は強さを変えずに量を絞るものと私は捉えているのですが、この絞った感じが抜群に出て来ます。このp(ピアノ)が出てくる事により小中音量での視聴でもp(ピアノ)からf(フォルテ)の間隔が正しく取られダイナミックレンジの広さが感じられます。また、情報も余さず絞り込まれていきます、いくら音像が小さくなっても情報は他の情報と混ざり合ったりする事無く欠落も無い為に非常に精緻な音像が出現します、この為弱音部が非常に美しく再現され心地良いです。これらp(ピアノ)部や弱音部の表現に非常に優れている為か中音量程でも音量不足が全く感じられません、勿論中音量を超える大音量で再生しないといけないソフトも有るでしょうけど、中音量でも鹿野さんの世界での大音量が楽しめるわけです。精緻な音は一歩間違えれば生真面目で堅苦しく機械的な感じになりがちですが、高域・低域にちりばめられた遊び心で有機的に結びつき音楽を音楽として再現されております。鹿野さんは音楽経験無しとのお話でしたが、それが信じられない程、音楽的センスの高い演奏に時間を忘れて聴き入っておりました。今回は時間的余裕が少なく、実際はサワリの部分しか聴いていなく神髄はまだ深い部分に有るかもしれません、もし次回が有るならば、気合いを入れて探索に参りますので宜しく御願いします。

  2003.5  堀 靖治

 ある日仕事から帰ると、
 「川崎さんちにお邪魔しませんか?」
と言う、嬉しいお知らせが届いていました。

眠る前にもう一通お知らせがあり、それが鹿野邸への招待状でした。

早起き・移動もなんのその。
駅で堀さん・鹿野さんと合流、ご家族と機器達に迎えられてオフ会がェスタート。
鹿野さんの好み、聴き方や機器の話などを楽しく聞いてから、ディスクを聴いていきます。

音が出ると、広がる音場、小音量でもしっかりと密度のある音がありました。
澄んでいても冷たくはなく、そこにある音楽。
どんなジャンルも良く鳴り、特に女性ボーカルとグールドのピアノが印象に残っています。

 そうやって何曲か聴かせていただきながら、
 「こんな風に鳴らしたかったんだ…」
と、オーディオをはじめた時の事を思い出していました。
見失っていた自分の目標に出会ったような、そんな不思議な感じでした。

 この日は、Cello Audio Palette MIVとPhilips SACD-1000が不調でお休み中でしたが、
そんな事は微塵も感じさせない素敵なひとときを過ごさせて頂きました。
これを糧に、いつ襲撃を受けても安心できる状態に追い込んでいきたいと思います(笑)。

 この後は堀さんの感想にあるように川崎さんのお宅へ移動。
一日で二箇所の、非常に高いレベルの音を体験する事ができました。

 最後にこの場をお借りして、鹿野さんと川崎さん、ご家族の皆さん、声をかけてくださった堀さんにお礼を。
とても楽しい時間をありがとうございました。是非、またお邪魔させてください。

 森原征人

実際にお会いした鹿野さんは想像通りというか、場を和ませる方でした。

私は鹿野さんが海外に居るときからメールのやりとりをしていたので、

その文章から氏の暖かい人柄を感じていたのです。
鹿野サウンドは上品であり、かつ落ち着きのある夜が似合うサウンド。

聴かせていただいた音楽もそういった物が多かったです。

昼間から聴かせていただくには少々勿体ないかもしれません。

しかし、子供が遊んでいて、陽の光が入るリビングさえも”大人の雰囲気”に

変えてしまう。

時間を無視して音楽が現れ、聴き手は時を忘れる。
最近は真夜中に音楽を聴くことが多いという鹿野さんならではのサウンドかも

しれません。

その他に、歌謡曲等も聴かせていただきましたが、音楽の雰囲気が

とても良く表現されていて、個人的に大好きなサウンドでした。

鹿野さん、良い音楽をありがとうございました。

                   2003年8月        師田克彦


 鹿野さんの音

思えば人の縁とは不思議なものである。オーディオという共通の趣味を通じて、シカゴ
と東京にいながら同世代の友人ができた。そして、相互訪問をさせていただくこととな
った。
鹿野さんと始めてお会いしたのは2001年12月。非常にオーディオに対して真摯な方、
という印象だった。その当時、私はCDのアップサンプリングを始めた頃で、さらなる情
報量を獲得するためにSONYのスーパーツィーターを導入していた。鹿野さんはその時
聴いていただいた私の音に何かを感じていただけたらしい。その後、鹿野さんは日本に帰っ
てこられたのだが、居住地は神戸で、なかなか訪問することはかなわなかった。そうこう
するうちに、今年の8月、我が家に2度目の訪問をしていただいた。今から思うとその頃
の鹿野さんは環境が変わった神戸で自分のシステムを構築するのに若干の迷いを感じてお
られた頃だったらしい。それから2ヶ月、鹿野システムはどんな音を奏でてくれるのか、
ワクワクしながらの初訪問となった。
部屋に入るとまずスピーカーシステムが目についた。Cello Serafinを中心
に、EntecのサブウーファーとTannoyのスーパーツィーター。そのたたずまい
はとても自然で、最初からそれがシステムとして存在しているかのような印象だった。
CD、アナログとも聴かせていただいたが、両方とも共通していて、非常に滑らかでベル
ベットのような質感の音である。そして、この滑らかな質感こそが鹿野サウンドを特徴づ
けている大きな要素であるように思う。音量は小さめであるのだが、Entecのサブウ
ーファーが効果的に働いていて音がやせるようなことはない。特筆すべきは、精緻な音な
のだがその質感のため決して無機的にはならない、禁欲的ではあるがある種の居心地の良
さを感じさせる独特な鹿野ワールドがある、という点であろうか。CDとアナログでは、
アナログの方がより滑らかさを増す感じがあり、また鹿野さんもアナログの音の方を好ま
れているということであった。

鹿野さん、楽しい一夜をありがとうございました。鹿野さんの音には独自の世界観があ
ると思います。癒し系の音である、というようなことをおっしゃっていましたが、癒し
だけではない強靱な意志の力を感じました。これから更にどのような音を練り上げられ
ていくのか、また是非聴かせて下さい。

   岡崎 俊哉


DCSのプロ機、954と972を導入され、「難しいです」と言いながらも「自己最高の音が出ている」と予告されていた鹿野さんのお宅に南谷さん、池田さんとお邪魔しました。早速DSD変換されたCDを聴かせて頂きましたが、一聴して、その変化に驚きました。音場が大きく立体的で、個々の音が滑らかですが浸透力があって、聴き手に向かって飛んでくるのです。これは、まさしく私が最も優先したい要素であり、以前の鹿野さんの音はそれが私にはあまり感じられないのにも拘わらず独特の魅力を放っていたのですが、今回「とうとうこの世界に来られたのですね、ようこそ」と心の中でつぶやきました。しかし、ご本人は音場展開の変化よりは、個々の音の質感の向上と捉えられていて、評価の視点の相違を感じました。もちろん個々の音の質感も間違いなく過去最高の出来でしょう。ただ、私は訴えかけてくる全体のエネルギーの凄さにまずやられるのです。そういう音でした。そう言えば、再生音量がけっこう大きいのにも驚きました。いや、スケール感が増してそう聴こえたのでしょうか?
たくさん聴かせて頂きましたが、何をかけても拙宅の音と音の出方が似ているので、違和感なく音楽に浸ることが出来ます。特にジェニファー・ウォーンズの最新譜からの一曲は、自分でもこのように再生したいと思うリアルさと豊かさが秀逸でした。一方、私がかけた柴田淳の「ため息」は、ほとばしる情報量と密度感が逆に災いして華やか過ぎる表現となり、以前の鹿野さんの音の求心的佇まいを少し懐かしく思いました。後で訊くと、やはり、今のDSDの音はそのクオリティの圧倒的高さをよしとする一方で、音色的には以前の少し枯れた方向に振りたい、とのことです。それは鹿野サウンドの目指す方向として順当であるように思え、ちょっとほっとしました(笑)。私があえて課題を探すとすれば、低域の解像度はもっと上げられるのではないだろうかという点です。鹿野さんのエンテックによる低域は、その調整の結果、ふわっと大変うまいバランスで聴かせますが、大編成曲や低域に躍動感が必要な場面では、音量を上げると、少し表現が柔和に過ぎるかも知れない、と思います。好みですけどね。
大きな変化について強調してしまいましたが、鹿野さんのセンス溢れる硬と軟の絶妙なバランス、繊細で滑らかなタッチ、深い奥行き、と言った美点はまったく損なわれていません。鹿野さんがこのDSD変換の音を完全にコントロールされると一体どうなるのか今後が本当に楽しみです。素晴らしい音と音楽をありがとうございました。
  2004年4月30日 川崎一彦 


 Paul来訪記     鹿野啓一
先日のTokyo International Showに合わせ、元CelloでTom ColangeloとViolaを立ち上げたPaul Jaysonが来日しました。彼とは私がNYにいたときにNew HeavenのViolaのOfficeを訪問して会って以来、ほぼ4年ぶりの再会です。訪問したときの話しはAB誌に記しましたが、その頃は、まだBravoも出ておらず、躯体のプロトタイプがあったり、彼らは1号製品のreleaseに向けて準備中で、またSP Systemの開発もやっていました(その頃のShowでは、Allegro/Bassoがお披露目されています)。その後の数年のうちに、彼はSpiritやSymphony等の設計を精力的に行い、このTokyo International Showでは4Wayのクロスオーバー(LNC-2の後継に当ると思います)を持ってきました。これはJBL等でマルチアンプをやっている人には大変魅力的なのだろうと思いますし、昨今のなかなか新しい優れたクロスオーバーが出てこないという状況下で非常な朗報でもあるのだろうと思います。デジタルに行かずにまずそちらを出そうとしている点で意表をつきますが、彼らのバックボーンからして当然といえば当然で、至極まっとうな行き方なのかも知れません。いずれにせよ、Full Line化に向けて、彼らは本当に前向きで、ML/Cello大好きな私としては大変彼らの動向が楽しみな状況です。

さて、彼の東京来訪に際し、当然私としては、極悪人の音を聴かせたい。きっとそのことは彼にとってよい刺激になるし、また極悪人の方々にとっても刺激になる。またそのことをきっかけに交流ができたら、すごくいいことではないかと考えました。日程がタイトで、割合に直前の調整だったにも拘わらず、富田さんと柳澤さんが都合がつけて下さり、彼の訪問を受け入れてくれることになりました。以下はその時の訪問記です。


 富田邸訪問
Paulの訪問は、彼が確実にFreeの日本到着日ということになっていました。飛行機が夕方着で、連休中であったため、遅れを心配したのですが、待つこと1時間半、ようやく彼がバスでホテルに到着しました。長旅後で疲れていたと思いますが、彼には早速、荷物を置きに行ってもらい、私の車で富田邸へ、彼は大丈夫、今は米国の早朝だから、これから元気になると言ってくれました。
富田さんの事前情報では、秘密兵器が入ったとのこと、なんとマルチのリアSP用にCelloのEncore Mono 50 Goldを入れたとのこと。Paulに拠れば、Goldは50セットも作っていない、せいぜい20‐30セットぐらいではないかということでした。私のところでは、それまでNakamichiの730でドライブしていたスーパーツィータ用にEncore50を入れたところ、それまでメインSP(Encore級アンプでDrive)と上手く溶け合わずに苦労していたのがうそのように上手くつながるようになったことを思い出し、さらに完成度を上げられたのではないかと思っていました。
部屋に入るとPaulはCelloのPerformance IIアンプ等が並んでいるのを嬉しそうに眺めています。早速GoldmundEidos18を使い、SACDマルチを聴き始めます。私は彼を中央に座らせ、脇で聴きます。真剣に聴き入るPaulは、しばらく無言です。どう思うかと水を向けると、非常にいいが、これらのソフトはマルチ用に録音されたものか?それとも元々は2CH用のものか?自分の印象では、マルチは、まだまだマイクセッティングからして未成熟で、録音技術的にまだまだではないかと思っているとのこと。富田さんからマルチ用の録音であるとの説明。Paulは納得したようで、今まで自分はマルチについては、Sound Stageが自分の周りにも出来上がってしまい、On Stageの感覚になり、それが良くないと思っていたが、Mr.Tomitaのところでは、Sound Stageは、ちゃんと前方に位置している。違和感がなく、非常に興味深い。だから録音がマルチ用かどうか聞いた。(StudioK'sのマルチもちゃんと前方に定位するぞ ヤマモト)

富田さんは、リアから実はかなりの音量が実はでていることをフロントの音量を落として説明してくださり、Paulはおそらく本格的SACDマルチは初めてで、興味深かったようです。2chCDでdCS機器群とGoldmundEidosとの比較なども富田さんにしていただき、彼がEvaluationは女性ボーカルもので行うんだということで、Mevuを聴き比べたりしました。やはり彼はTomと同様に、実体感、Realityがあるということを一つの基準としているようで、それでどちらがいいということを判断していました。マルチは私は隣に座っていたので、きちんと聴けなかったのですが、2CHについては、音像の定位や大きさ、Sound Stageといった点はやはりいずれも素晴らしく、彼もそこは問題にせず、おそらくソフトによると思いますが、芯のある深みのある音の方を選んでいたように思います。
全体としてPaulは、SACDマルチについて、非常によかったし、その違いは熱心なAudiophileにとっては大きなものだと思う。ただし、LPに代わってCDが出たとき、あるいはVHSに代わってDVDが出たときのようなインパクトは一般にはないのではないか。そういう意味でPopularityを得ていくことができないのではないかという感想も漏らしていました。まだ自宅では2ChのPure AudioをやっているPaulにとっては、ソフトの成熟度の問題を含め、すぐさまマルチに踏み出すという話しはでませんでしたが、上記のようなSerious Audiophileにとって価値というものは見つけ、その意味で非常に興味を持っていましたから、富田さんのところで蒔かれた種が育っていけばと思います。

 

柳澤邸訪問
あっという間に1時間超の時間が過ぎてしまい、今度は駆け足で、富田さんも一緒に、柳澤さんのお宅を襲撃します。到着して、玄関に入ると柳澤さんのお子さんが歓迎のStars & Stripesの米国国旗を壁に飾ってくれています(感激)。
柳澤さんは、事前にどのような曲をかけようか考えておられたのですが、なんとPaulはあまりJazzは聴かないとのことで、柳澤さんはえーそうなの!と驚かれ、急遽プログラムを変更、しかし、さすがに柳澤さんです。このショックを乗り越え、怒涛の攻撃、ストラビンスキーの春の祭典では、凄まじいエネルギー感で、Paulに迫ります。骨格の確かな揺るぎのない音で、Paulも”Energetic”と手放しで喜んでいます。柳澤さんはまだまだ出したい音が出ていないんだよね。きれいな音は直ぐ出るけど、Boxer導入後3年を経過して、そろそろ一皮違う音にしたいと止まるところを知らないようです。でも十分に素晴らしい気迫のこもった音だったと思います。時間があれば、柳澤さんのところのまた異なった一面、静謐ともいえる浸透力のある音も聴かせていただきたかったのですが、全体に時間が押してしまい、それを発揮させるようなソフトでの演奏まではできませんでした。柳澤さんには非常に申し訳なかったのですが、全体にPaulは満足してくれたようで、Boxerにも興味を示し、クロスオーバーやUnitについて質問を受けました。その後、記念撮影を行い、晩御飯に出かけます。PaulはSea Food OKの菜食のみ、日本食大好きとのことで、お寿司になりました。
Paulは割に無口だと思っていたのですが、食事の時を含め、よく話してくれて、我々は興味津々でした。富田さんは、一体自分のSystemにViolaを加えたらどうなると思う?BravoとSymphonyとどっちがいいの?といったうーんなかなか答えるのが難しいかも・・・でも私もすごく知りたい・・・というような質問をされ、また柳澤さんはクロスオーバーに興味津々で、薄型でSymphonyと同様の真中がくびれたデザインであることを知ると、おーっと言われ、注文してしまいそうな勢いで、爆笑でした。話しは多岐に渡り、冒頭の今日はRaw Fishがでるよというと、Paulはそれを食べたら死ぬんじゃない?と言い出して、実はふぐのことを知っていて、それを食べさせられるのかと思ったという、大笑いになった話しから、日本のYounger Generationは、一体Hiendに興味をもってくれているだろうかというPaulの質問に、富田さんがAudioVisualで入ってきて、それをきっかけにしPure Audioにも関心をもつようになった若い人というものは存在するが、数は少ないかもしれないと回答し、Paulはその部分で米国を含めオーディオの将来について危惧しているとったSeriousなものまで様々で、あっと気が付いたら夜の11時を回ってしまっていました。

長旅の後の極悪人宅訪問ということで、スケジュールが押してしまい、彼にも、また極悪人お二人にも申し訳ない部分があったのですが、それを割り引いても、Paulが喜んでいてくれ、楽しかったと書いてくれたのを読んだり、富田さんや柳澤さんにも刺激と駆け足でしたが交流をしていただいたことは大変に嬉しいことでした。どうも今回私はコーディネーター兼通訳に徹していたようで、皆さんの様子は鮮明に覚えているのですが、肝心の音は実はよく覚えていないということをあとで発見しました。またこのような交流をこんどは余裕を持って、また私も音を聴くモードでできればなあと思いました。富田さん、柳澤さん今回は本当にありがとうございました。この場を借り、再度お礼申し上げます。今度は皆さんでアメリカに行きましょう(笑)。

 Paulからの感想
以下の感想は、私の意見であって、誰かを批判するという意味合いを持ちません。すべての人はどのように音が鳴っているのかということについて異なるアイディアを持ちます。そしてそのことが、一つではなく多くのオーディオ・ブランドの存在する理由です。
Mr. Tomitaのシステム
彼のシステムは非常にオープンでニュートラル(色付けがない)であったと思います。
SACDサラウンドは大変に興味深かったです。私はMr. Tomitaの音を聴き、もし演奏がサラウンド・ミキシングとして録音されるなら、SACDマルチには見込みがあると思いました。
私は自宅用のシステムにCelloを使っているので(今後Violaに移行するつもりですが)、Mr. TomitaがCelloの機器を使っているということが彼のシステムの音の一つの理由であると感じます。もし私が彼がどんな機器を使っているのか知らなかったとしたら、それらに興味を抱いたと思います。いずれにしても私の意見は変わりませんが。
Mr. Yanagisawaのシステム
彼のシステムは、Mr. Tomitaのシステムほどにはオープン、ニュートラルではありませんでしたが、非常にDynamicでした。
(訳注:柳澤さんが低域に不満があるという話しを受け)、その理由は、機器よりも部屋によっていると思います。Mr. Yanagisawaは何らかのRoom Treatment、Bass Trapを入れたいと思うかも知れません。それはSound Stageを向上させ、Neutralityを向上させるのではないかと思います。
ディナーを皆さんと一緒にでき、また私に皆さんのシステムを聞かせて頂き感謝しています。
2004年10月14日
 Paul Jayson