パートVは何が起きるのだろう?

今日は早朝から撮影で出かけていた。発売日にインストールしたPantherの入っているiBookを持っていって、撮影する合間や帰りのバスの中でもiBookで画像処理をした。Panther付属のメーラーはそれなりに使い勝手が良くなっている、そしてメールを送信するとジェット機のような音が出る。でも、今日は忙しくてまだKEFを元に戻すことが出来ずにいる。 2003.10.27

山本さま

URDG75 Spec04の試聴記をお送りします。


AETのURDG75デジタルケーブルがSpec04に進化した。とりあえず聴いてみて下さいと小原
氏より言われ、内心、あんまり変わっていないのではないか、などと思いながらとりあ
えず2本お借りし、Verdiと972の間の音声信号に使用してみた。私の予想はいい意味で
大きく裏切られることとなった。

AETのURDG75は私にとって非常に大事なケーブルである。CDをDSD変換して聴くにあたり
CDT-DDC間のリファレンスケーブルとして、また、クロックケーブルとして情報量の多さ
とワイドでフラットな周波数特性に信頼をおき愛用している。CDのデジタルデータをア
ップサンプリングやDSD変換を行って聴くにはデジタルケーブルはことのほか重要な存在
で影響が大きい。いままでのURDG75は十分にその責務を果たしてくれていた。このケー
ブルに決めるまでいろいろなケーブルを試したが代わりになるような存在は無かった。
ただ、唯一の欠点はすべてのケーブルをURDG75で統一してしまうとクオリティは高いが
やや無機的になってしまうことだった。某2CHではスカキンなどと評されていたが、それ
もなんとなくわからなくはないような音である。そのため、DDC-DACの間はYamamuraのデ
ジタルケーブルを使用して、絶妙なブレンドによる温度感を楽しむことにしていた。

今回、お借りしたURDG75 Spec04はシールドとインシュレーターが前作とは異なっている
らしい。詳しくはAETのホームページをご覧になっていただきたい。試聴にはCDT-DDC間
のケーブルを入れ替えて比較した。まず感じることはS/Nが非常に改善されより細やかな
部分まで音が聴こえるようになり、そのため情報量がますますupしたこと、そして大き
な変化として小原サウンドの数少ない欠点であったスカキンが無くなっていたことであ
る。AETのケーブルは確実にSCR Lineから音が変化した。このURDG75 Spec04もこの好ま
しい変化を確実に受け継いでいたわけである。現在、1週間ほどのエージングが済み音
を聴いているが何も不満はない。情報量が多い機器は温度感が低く硬質で無機的な音に
なりやすいが、URDG75 Spec04は確実にこの難問をブレイクスルーした。おかげで最近CD
を聴くのが非常に楽しい。SACDは11月発売予定のオルトフォンi-linkケーブルを楽し
みに待っている。


  岡崎 俊哉

僕のところでもだいぶ前にこの新型デジタルケーブルにして、音はしなやかな方向に変化し、
しかも力感は失われないという結果だった。でも、その効果は岡崎代表宅の方が大きかったらしい。

やっとKEFを接続し、音を出し始めた。ものは試しということで、壁からバッフル面までを2.5mにして、
左右の感覚も広げて置いてみたが、これはやりすぎだったみたいで、元通り2.4mにしスピーカーの感覚も
元に戻した。やはり限度というものがある。

来週はオーディオベーシック誌の取材が入っている。さて、どんなことが展開されるか楽しみだ。

いろいろ、まだやってみていないことを試す計画はあるのだが、今はまだやれていない。まあ、そのうち
徐々にやれるだろう。音には不満がないし、ソフトもドッと大量にやってきそうな気配だ。 

本当は今の季節が一番音楽を楽しめると思うけど、こんな時に限ってけっこう忙しく、やらなければならない
ことが沢山ある。そんなわけで、このところは何かをしながら音楽をきいていることが多い。

戯れる会の巡回試聴で今年はSDサウンドのパワーアンプがあちこちまわっている。僕自身はとても気に入って
いるが、他の人がまったく違う条件できいてどう感じるか興味があった。けっこう有名な舶来パワーアンプを
放出してSDサウンドに乗り換える人もいて、けっこう面白い。 
2003.10.30

なんだかわからないけど、ちょっと忙しくてあまり音楽もきけずにいるが、これからはちょっと楽しめそうだ。

 なんってったって、この状態ですから、全部きくにはどれだけかかるやら。 

これだけ大量のLPを二階に上げると、肉体的に辛いので頭の中では少し後悔の念がよぎる。でもどんなレコードがあるか楽しみなので一枚一枚確認して、半分面倒になりつつもジャケットの良い物や興味のある物を適当に選び出す。そして、残りをとりあえず和室に運び込む。まあ、ソフトが沢山あるってのは幸せなことです。名前も知らない作曲家のものをきいてみるのも良いし、名前は知っていてもなじみの薄い作曲家(僕だと例えばシベリウスとかかな)の作品を体験するのも悪くない。 2003.11.1

というわけで、今日はこのLPの中からブルックナーのアベマリアをきいてみている。先日厚木さんにブルックナーのシンフォニーのLPを半分強引に押しつけたのだが、いつか将来「山本さんが言う通り、確かにブルックナーのシンフォニーは宇宙ですね」と言う日がくるであろうか? 2003.11.2

ウソか本当か確かめようもないのだが、ZYXの針は2.000時間〜3.000時間使えるそうだ。だから、こんな風にいっぱいのLPをどんどんきくには当然ZYXの出番ということになる。そしてどうやっても一人で全部きくことは出来ないので、これらを色々な人に分けてあげようと思っている。 2003.11.3

今週はオーディオベーシックの取材が二つあるので非常に楽しみだ。この数ヶ月、マルチフォーカスチューニングが面白いと僕に言う人が割と沢山存在した。川崎さんは「画期的、山本さんならではだ」という、誉めてるのかけなしているのかかわからない感想をくれた。僕が考えている方向とはかなり違う展開になっていて、仮にああいう筋書きをたてたところでああなるものではない。もちろん僕は困っているのだが、そのギャップや困っている様子が結果的に楽しみを与えているらしい。あんなバカバカしい事を真面目にやっているわけだから、僕が読者ならやっぱり面白いと思うかも知れない。

ラーメン王にとっても最終回だけど、僕にとっても最終回だからね、自分だったらこうやるってことを少しは展開してみようかと思っている。 2003.11.5

夜寝るのが遅かった割に眠りが浅く、へんな夢を見た。取材の待ち合わせの時間まであと10分しかないのに僕は靴下を探していて出かけられない。そこへ子供が二人でまとわりついてきて靴下は見つからず、夫婦げんかをする夢だった。

昨夜の仕事はデジカメで撮ったものをプリントで納めるものなので、今日は一日中プリンタが動き続けている。そして大量にあるレコードの山からききたい物をジャケットで選んでかけ、それをききながらHPの更新をやっている。このところオーディオ以外のページ(G4Cubeとか)をけっこう更新している。

長い間モニタの色とプリンタの色合わせに苦労してきたが、今は割と良い状態だ。上のような場合、去年まではネガカラーを使って街のDP屋に出していたが、あまりに色や濃度が悪い。デジタルで出力した見本を添えているのに大幅に違う物が上がってきて、文句を言う気持にもならなかった。それで、75年もつという顔料インクのプリンタを買って、僕はもう自分でやることにした。写真が好きなら、デジタルで撮って自分で処理をした方が絶対に結果は良いし安くもある。

だから、音楽制作という立場からすれば当然デジタルで、今更アナログなんてやってられない。ただ、僕たちは鑑賞者だから、銀塩写真の美しいプリントを見るようにLPに接している。この一年間ほどで僕のCD再生も進化し、どっちの方が良いというようなことは無くなった。 2003.11.6

疲れた。 
こういう時は癒し系の音楽しかきくことが出来ない。 2003.11.7 

なにしろレコードがいっぱいあるので、このところレコードばかりきいている。
で、SS誌に村上春樹が書いていたシューベルトのピアノソナタを探し当て、試しにきいてみたが、あまり夢中にはなれそうもない曲だった。あんな感じの曲をあんなにいっぱいきくことそのものに敬意を表するというか、変わった人だなあと思った。

いつも思うのだが、トーンアームに付いているリフターは各社各様で、しっくりくるものこないもの、色々だ。僕はマイクロのアームに付いているリフターが一番好きだ。このはなしはいつかまたくわしくね。 

昨夜遅く家に帰るとテレビがついていた。久しぶりに見るTVはNHKで、音は消してあり内容は剣道の世界選手権のようだった。僕は音を消したまま終わるまで見続け、そして素晴らしい「突き」に感動した。終わると「狂言師 野村萬済」の番組になり、途中まで見て寝た。

そして夢を見た。夢の中で僕はカエターノに会い、たどたどしい英語で僕が「あなたのCDを毎日きいている」と伝えると、カエターノはすごく喜んで僕を抱きしめてくれた。そして舞台に立ったカエターノはグリーンとグレーのマントのような衣装だった。僕は「何事も、自分が強く思えば願望は必ず叶う」と思っている。 2003.11.9 

次回の戯れる会は13人の人が集まる予定で、内容は参加者持参のソフトをきいた後、1)Audion300Bアンプ+SDサウンドi-1のバイアンプと 2)SDサウンドi-1二台によるバイアンプの比較試聴、それからトーレンスのカートリッジMCH IIとEMTのHSD-6の比較試聴、オルトフォンのMC30superとMC30superIIの比較試聴などを予定している。

それが終わった後で、沢山やってきたLPを欲しい人に極めて安く分けるつもり。 2003.11.10

今週は原稿書きをやっている。本当はLPをかけて、時々でもひっくり返しに行った方が良いのだが、今の状況はもう少し(気分的に)せっぱ詰まっているので、こんな時にはかけ替えるのが面倒だからとCDをきくことも多い。一日に何回かは電話がかかり、リモコンでポーズにすると、解除を忘れてずっと回っていたりする。

そう大したことを書きたいと思ってるわけでもないのだが、自分なりの視点というか僕にしか書けないような内容にはしたい。でもそれは容易ではなくなかなか進まない。原稿が書けないと無意識に頭をかきむしるらしく、掃除をするとキーボードの回りに髪の毛が沢山落ちている。

何かから逃れたい気分で例のLPを見ると「春の祭典」があったので、これをきいてみることにした。春の祭典って持っていないからすごく久しぶりにきいた。うーん、これを毎日かけていると近所から苦情がくるかも知れないなあ。 2003.11.12

今日はAB誌29号原稿書きの山場、残り少ない歯磨きチューブ状態で、力を入れてギューっと押さないと出てこない。昼はSDサウンドの石上さんがボリューム付きのアイワンを持ってきてくれる予定で、午後三時からは撮影。まあ、ずっとMacの前に座っていたからと言って書き上がるってもんでもないからなあ。 2003.11.12

まいったなあ、SDサウンドのアイワン二台でバイアンプにしたらスピーカーが替わったようなサウンドが展開されている。最初はあまりに違うので、どこかおかしいのかと思ったぐらいだ。久しぶりに音で驚いた。チック・コリアとボビー・マクファーリンのデュオをきくと中高域のスピード感がまったく違う。ピアノのアタックってのはこういう音だよなあ、いやあ新鮮だわ。それにしても、このCDはSACDとのハイブリッド盤なんだがいつかSACDプレーヤーできいたらどんなだろうと思わせられる。

と、書くと良いことずくめのようだが、実は色々な問題が起きていて、こりゃどうしたもんかねと頭をかかえると言うか反省すると言うか、恥ずかしくて書けないような状態も始まっていて、あんまり欲張らない方が良いのかもしれないなあなどと思いつつある。

やっぱりアーム3本フォノイコ3台にバイアンプ(しかも二種類)なんてのはイカンのかも知れない。この上将来はSACDもききたいなんて思うわけだからますますいけない。 2003.11.13

もう何ヶ月間かずっと、Audionのシルバーナイトという300BシングルのパワーアンプとSDサウンドi-1のバイアンプで楽しんできた。これは非常にきき心地が良くなごめる音で、生ぬるいとまでは言わないが、ずっとこのままでもいいやって感じの平和至極サウンドだった。そこで、以前から興味があったi-1二台のバイアンプにすると、これは別世界が展開される。良いこともあるけど色々不満やら不備やらも浮上する。まあレーサーレプリカで公道を走ってるのに近い感じかな。

で、昨日からi-1と300Bの組み合わせは同じだけど、使い方を逆にしてi-1を上、300Bを下にしてみた。これはなかなか良い。カタログで見るとKEF105 3sのクロスオーバーというかバイワイヤリングの下は160Hz以下で、当然ながら再生音には中高域側に接続したアンプのキャラクターが大きく反映される。これだとi-1二台よりもちょっと甘さを残した音になって、今の気分によく合う。

そんなわけで、明後日の戯れる会はi-1二台によるバイアンプ試聴はやらず、その代わり昼にライラのTAITANがやってくることになった。ライラのTITANって定価45万もするカートリッジで、僕には到底買えそうもない代物だけど借りて針を折ったらどうしよう。手が震えるかも。 2003.11.14

来週の今頃、StudioK'sはオーディオの置いてある方が暗室になる。ここで何故か「白い巨塔ごっこ」をやりながらモノクロームのプリントをやることになっている。暗室卓球はボツになったかどうか、詩の朗読とタイプライターでのタイピングはやるみたいだし、日本初のエアギターコンテストも実施されるようだ。お暇な方は見に来て下さい。申し込んでもらえれば体験B&WプリントもOKですが、そのため、いつもの写真展のようなパーティはありません。

それで久しぶりにバライタ全紙(16×20)も焼こうということになり、CALUMETというアメリカのヨドバシカメラみたいなところから、日本では手に入らない印画紙を買った。UPSだと注文してから5日ほどで届くのだが、購入金額3万円に対して送料14000円みたいな状態になり、これじゃあんまりなので11×14の印画紙を200枚、それからベセラーのハロゲンランプ(ウシオ製なのに日本では売ってない、しかも85V仕様を110Vで使うためやたらと切れ、ギンイチに買いに行くと一個9000円とか言われてうなだれる)も10個買い込んだ。ForSaleのページを発見した人から一年に一回ぐらい「5.000円なら買いたい」というメールがくる。

印画紙も大量に届き、おでん評論家の遊民さんからも米や野菜が届き、和室にはLPがあり、Bluetoothと性能アップした無線LANを試したくて注文したiBookG4もやってくるかも知れないし、もうゴチャゴチャだ。昨日は思うところがあってフォノイコの置き方を変更した。明日は戯れる会だし、今日はスタジオを片づけなければいけない。でも、午後は新宿文化センターにピナ・バウシュを見に行くのだ、楽しみだなあ。

12月には、StudioK'sHPオーディオページで第一回(コンポグランプリのようなもの)を企画しているのだが、11月中に原稿は届くのだろうかとちょっと心配してる。

ピナ・バウシュ&ヴッパタール舞踊団は素晴らしかった。クラシックバレエも良いけど、ピナ・バウシュの舞台は普通の服装で踊るところが良いし、せりふもあって抽象的総合表現かな。衣装も良かったし、体型も大きな人や小さな人、東洋人や西洋人、色々な人がいて、一般的な舞台映えする体型の人が主役ってところがなくてすごく良い。ベジャールみたいに女性の扱いに偏りがあるのはどうかと思うけど、ピナ・バウシュの舞台にはそういうところもないし、内容はすごく意味深長で、そして現代を表している。ああいう第一級のものに出会うとやる気がでる。
カエターノ・ヴェローゾとピナ・バウシュは親しいみたいで、いつもカエターノの歌は使われる。他にも例えばDejavuで話題になるリサ・エクダールの曲も使われていて、そういう面でも大変現代的だ。
最後に舞台に立ったピナ・バウシュ実物は、62才だから「おばあちゃん」と言っても良いのだが、写真で見るよりずっと素敵な女性だった。知的な感じとか、新しい試みをやり続けているところがカエターノと共通している。

明日の戯れる会のために、フォノイコの置き方を変更し、STUDIETTOもバッチリ鳴るようにした。けっこう苦労したが今は多分ベストの状態だろう。自分の音ながら、こんな音はきいた事がなかった。

今日はダイナベクターのXV-1をMA505Xにつけ、AETのSCRラインケーブルでヤマハのHX-10000に接続したが、これは大変良い。もう一本のアームMA505SにはトーレンスのMCH2がつていて、イソダケーブルでブーメスタのフォノイコに接続されていて、これも素晴らしい。STUDIETTOはZYXクライオで、やはりSCRラインケーブルでクレルのフォノイコを使っているのだが、今の組み合わせは不動になりそうな感じがする。カートリッジをあれこれ取り替える場合はダイナベクターがついているアームで行う。

あとは適当なトーレンスのTD124さえ手に入って、うまく鳴らすことに成功すれば、僕のレコードプレーヤーはずっとこれで良いのではないかとさえ思っているのだが、TD124はまだ見つけられない。どっかにないかな。 2003.11.15

一昨日はピナ・バウシュの公演に行ったので僕は(楠田枝理子さんほどじゃないかも知れないけど)ものすごく楽しみものすごく疲れ、ものすごく興奮していたらしい。それで土曜の夜から日曜の朝にかけて僕の肉体は寝ているのだが、精神は覚醒していたようで、昨日は朝起きた時から疲れていた。そして午後は戯れる会で、非常に濃密な時間を過ごした。

TAITANは今まできいたライラのカートリッジの中で一番良いと感じた。強靱さに加えて本物の温度感がある。これを買うことができる人も、無理をして買った人も、幸せになれる可能性がある

最新超高級カートリッジにありがちな音の薄さがないどころか、ものすごく押し出しの強い音で、なかなかすごいものだと感心してしまった

 2003.11.17

大阪の川崎さんから「サーロジックのD.Cubeを導入することにした」というメールがきた。しかも2台、「僕はやせ我慢して1台でやっているのに、いきなり2台同時だって!」確かに2台だとすごいんだ。詳しくは川崎さんのページをご覧下さい。D.Cubeは本当に夢のようなサブウーハーで、悪影響ってものがない。そしてその効果は全域に出る。昨日の戯れる会でも試みに数回サブウーハーのON-OFFをやってみたのだった。 

今日は久しぶりに一日中クルマを運転して過ごしたので疲れた。そして、HX-10000の代わりになるフォノイコを探し始めている。明日の夜は半年ぶりに平日の夜の戯れる会を開催することになった。

それにしてもライラのTITANはなかなか魅力的な音である。「もしこれをSTUDIETTOに取り付けてきいてみたらどのような音がするのだろう」なんて思いも頭の中をよぎるのであるが、「いやいや、そんなことをしてはいけない」と我に返り、よぎったものを消した。 2003.11.19

TAITANは借り物なので、今夜の戯れる会で参加者と共に一緒にきいた後返却する予定。

フォノイコはFMアコースティックスのFM122を借りて試聴中、音はすごく良いのだが電源取り方が悪いのか蛍光灯や冷蔵庫のモーターのスイッチON-OFFでかなり大きなノイズが出る。裏にいくつかそれらしきスイッチがあるが、マニュアルがないので良くわからない。

今までこのようなノイズを発生したフォノイコはベンツマイクロのPP1のみである。どこでもこうなのかと思ってPP1を使っている人に聞いてみると、「ノイズなんて出ませんよ」という返事も多いので、よくわからない。当然ながらHX-10000あたりだとこういう事は皆無で、僕はずっと考えているHX-10000の電源ケーブル交換をやってみようかどうしようかと思っている。 2003.11.20

FM122というフォノイコライザーアンプは、ピアノの響きや弦楽器とかが最高に美しくて、ため息が出るほどだ。これはいくっきゃないかなと思ったけど、僕にはちょっと美音過ぎるので、見送ることにした。だから、やっぱりHX-10000は当分ドーンと存在することになりそうだ。HX-10000の電源ケーブルを脱着式に改造しようかとも思ったが、また修理をしてもらえなくなると困るのでやめた。

明日から三日間 闇のカーニバル展=オープン暗室だ。 2003.11.21

僕はお医者さんに扮装して、スタジオは三日間暗室にしているので、オーディオはお休みしている。昨日は僕たちがプリントしている最中に暗室の中で詩の朗読の時間があり、今日はDJが行われるらしい。詩の朗読と、プリント作業というのはなかなか面白い組み合わせだった。明日はエアギターコンテストかな。でも卓球やられるのは迷惑だなあ。 2003.11.23

オーディオ愛好者には医師が多いので、「ばかめ」って感じでしょうか。このカッコでご近所の医科歯科大や順天堂あたりを歩くのは勇気がいる。カレー屋やコンビニに行くのはもっと勇気がいる。来年の「闇のカーニバル展」はバレエダンサーなんてことはないよね。

 

11/23のDJはなかなか楽しかった。DJが入っている暗室で踊りながら写真を焼くなんていうのは前代未聞である

24日の午後はテレビ朝日でアナウンサーのポートレート撮影が入っているので、25日はそれを処理しながらいっぱいレコードをききたい。FM122ももう一度ちゃんとききたい。ライラとZYXしかきいていないけど、オルトフォンとかもきいてみたい。FM122は本当に美しい響きなのだ。 2003.11.24

闇のカーニバル展最終日

僕は仕事だったので、代理のドクターがやってきた

STUDIETTOの方じゃなくてDDX-1000で、FM122とZYXを組み合わせてきいてみている。これもなかなか良い。FM122だとカートリッジは何でもすごく良いので、TAITANを買うより楽に幸せを得られるのかも知れない。

FM122をきいていると、「なるほどこれがFMアコースティックのサウンドなのか」と納得させられる。これは大変強烈な個性で、オーディオ的か音楽的かといえば音楽的だと思う。この世界にはまって全部これでいいやと思うかどうか。フォノイコなら「他にも沢山持っていてその中の一つとして受け入れる」も可能だが、アンプ、特にプリアンプなんかの場合だとそうも言ってられない。そこでどっちの立場をとるかなんだが、僕は「そうも言ってられない」というスタンスだ。 2003.11.26

実は、あと二日三日FM122の試聴をしたいと思っていたのだが、今朝まったく新しいカートリッジが届いたので、僕はこの新しいカートリッジの試聴に専念することにした。

と思ったのだが、このなかなか強力な新しいカートリッジと+自分の世界があるFM122を組み合わせたら一体どうかをやってみようかなんてことを思いついた。このカートリッジは国産で定価30万らしい。

山本様

ご無沙汰しております。
今日沖縄から帰ってまいりました。
那覇からメールをくれた方の所へおじゃまして、歓待してもらいました。
僕のHPはたまたま検索で見たそうで、もともと山本さんのHPをずっと見ておられ
てよく知っておられました。
AETのGAIAとSCR lineを持って行ったのですが、使いこなしも含めていろ
いろ2人でやりました。結構いろんなところで皆つながっているものです。

ところで山本さんが今聞き込みはじめているカートリッジというのはマイソニックラボの「エミネント」でしょうか?
僕もハイエンドオーでょショーの2つのブースで少し聞いて、凄そうだなと思っておりました。
HPみてるとやっぱり凄そうですね。
できれば例会で聞かせて頂ければ有り難いです。

  御田照久

   ううむ、あまりにすどるいので、久々にメール乱用、掲載させていただきました。

この他にも中ぐらいに古いオルトフォンが二個あって、それもききたいんですが、手持ちのシェルがなくて、どれかを外す必要があり、そちらは滞っています。

色々考えたのだが、フォノイコをあれこれにするとわけがわからなくなるので、やっぱりFM122は返却することにして、試聴はXH-10000で行うことにした。

第一回StudioK'sコンポグランプリみたいなものの名称は「Surprised of the year」とすることになっていて、要するに、個人的にこりゃすごいと驚いた機器や状況(つまり誰かの音の部もあり)を紹介したいと思った。で、読者の皆さんにお願いしたとするとこれは収拾がつかなくなるので、審査委員?なんて大げさなもんじゃないのだが、下に看板が出ている人にお願いをした。お願いはしたけど、「辞退する」という人もいるようなので多分全員ではないみたい。

今週もLPの山と戦って過ごした。

しばらく前にiPodの新型が出ていて、旧型よりだいぶ小型になり色々使い勝手も良くなっているようだ。HDの容量も増え最大だと40GBになり、Macに加えてWindows版のiTunesも出た。どんな音がするのかちゃんときいてみようかと思っている。

新たに届いたLPの中から数枚選び、「エミネント」できいてみる。今はアンドラーシュ・シフが弾くバッハの「インヴェンションとシンフォニア」をきいている。PCM録音のやつだ。すごく良かったので、外は雨だけど清々しい気分になる。昨夜はB&Wプリントをしに来た人たちと一緒に餃子をいっぱい作って食べた。今日も午後からプリントで、今夜はロールキャベツの予定。そういうことにも時間をとられるので、エミネント用のトランスとピンケーブルも一緒にやってきたが、そちらはまだ試せずにいる。それからブラームスのバイオリンソナタをきいている。

大編成の曲をそれほど好んでいないので、ブラームスと言ってももっぱら室内楽やピアノ曲をきいている。ちょっとわかりにくい色気と哀愁、複雑な胸の内みたいなものが感じられて、僕はかなりブラームスを愛好している。ピアノ四重奏曲の良いLPないかなあ。そして、エミネントはすごいと思いながらトーレンスのMCH IIにしてみるとこれがまた良い。何なんだ、こいつらは という具合に楽しんでいる。今年は以前よりCDも随分良い感じで再生できるようになり、とても満足しているのだが、このLPにこのカートリッジみたいな部分、つまりおいしいおでんを食べて日本酒を飲むとか、この色のシャツにはこのジャケットと靴でこわい物なし、というような楽しみがLPの再生にはあって、僕はそこを楽しんでいる。 2003.11.30

僕はもう5年間ぐらい同じ携帯電話を使ってきていて、この度単純にカタチの良い携帯電話があったという理由でドコモからauに乗り換えた。そういうわけでアドレスを手動で入力しなければならず、皆さんにも番号が変わったというお知らせを出さなくてはならない。デザインにこだわると苦労する。それにしても最近の携帯電話は非常に賢くなっている。

それで夕方から忙しく、ロールキャベツは最後の味付けのみをやった。iPodはまあまあ良い音で、他になければこれでも良いかなと思うぐらい。 2003.12.1

auの「カタチの良い携帯電話
というのは"infobar"じゃないですか?
ショップの方で、データを全て移し替え、
メアドに
変更メールを出してくれるサービスがあるので、
僕も黒白
を入手しようかと検討中でした
山本さん
は何色ですか?
どうもあちこちで好みが重なるようですね?<br> というメールが御田さんから届いた

手動でデータを移すのはなかなかの労力ですが、その代わり使い方にはだいぶ慣れました。決して使いやすい物ではないのですが、デザイン優先ってことで許しましょう。

こうしてみると新型iPodは実に小さい

今日はとてもおだやかな一日で、料理や雑用をこなしながらレコードをきいていた。サティのピアノを久しぶりにきいたが、これは今日の心にとてもよくフィットした。それと、佐藤豊彦が1980年頃に録音したリュートのレコードをきいた。サティも佐藤豊彦もフィリップスのLPで、僕はフィリップスの録音を好んでいるみたいだ。そして12月は始まり、この季節は僕を毎日が雨みたいな気分にさせる。
まだ借りっぱなしのTAITANとエミネントの比較試聴をしなくちゃと思いつつ、僕はずっとエミネントでレコードをかけ続けている。昨日オーディオ・ベーシック編集部で金城さんに「エミネントは僕がきいたことのない音なのです」と言うと、「山本さんみたいに沢山のカートリッジをきいている人でも、まだこんな音は初めてだと思う物があるんだから面白い」と言った。まったくその通りで、オーディオは面白くてたまらない。 2003.12.1
昨夜10時前に終了というトーレンスTD124 MkIIを落札しようと思っていたのだが、何故か9時過ぎに突然インターネットが不通になった「こんな時になってこった」と心の中で罵り、この際だからどっかの無線LANに便乗と思ったが、ご近所で無線LANを使っている人もいなくて、残念ながらこのオークションには参加できなかった。
こういう場合は「落札できた人は大変幸福になるが、もしそれが僕のところにやってくると前世の因縁で災いが起きる。それできっと神様がインターネットを不通にしてくれたのだ」と思うしかないんだよなあぁぁ。
闇のカーニバル展の結果はこちらをご覧下さい。似たような画像ですけどね
夕方CDをきいていて、ものすごく音が広がってきこえるなあと思ったら、外を走って行く原付の音だった。
ん ?
バイアンプの中高音側をSDサウンドにして、低音側を300Bは変わりないのだが、スピーカーケーブルを逆にしてみた。SDサウンド1台の時はMIT MH750を中高音+AET GAIAを低音が良かった。でもバイアンプだと条件が変わると思って試してみると、どうも逆の方が良いようだ。 2003.12.3
6年前の今頃、僕は毎日ジョニ・ミッチェルの「Hits」というベスト盤をきいていた。サークルゲームは「いちご白書」でバフィ・セントメリーが、ウッドストックはDejavuの中でCSN&Yが歌っていて、こちらもなかなか良い。Dejavuという言葉を知ったのはCSN&Yのアルバムからだ。そして飯沢耕太郎が写真雑誌「Dejavu」を創刊したが比較的短期間で廃刊になり、今ここでDejavuと言えばフィルさんの掲示板ということになる。
話を戻そう、ジョニ・ミッチェルの「Hits」だ。6年前の8月に僕はStudioK'sをつくり、9月10月11月は仕事の合間にずっとスタジオの整備や整理片づけに明け暮れた。届いた荷物の梱包を解き、段ボールを捨て、レフ板にペンキを塗り建て込んだ和室と暗室の巾木やナゲシにワトコオイルを塗り、障子紙を貼ったり棚をつくったり、暗室の台を作ったり、長岡式スピーカーをいくつも作った経験は無駄にならなかった。思い描いた通り稼働させるには約3ヶ月を要し、そのほとんどを一人でやった。そして、一段落した時に僕は「Hits」をきいていた。BLUEに入っているRiverという曲も12月的だけど、あれは訳詞を読むとちょっときいた感じよりはずっと切実な歌で、とにかくとにかく6年前の僕は不安だった。
マイソニックラボのカートリッジ「エミネント」は返却要請がきたので、スタジオからなくなった。写真ぐらい撮りたかったけど、タイミングが合わなくてこのHPには掲載できなかった。その代わり別の興味深い機器がやってきたので、整備を依頼しているTD124がやってくるまではCDをあれこれきこうと思っている。今日やってきたのはSINANOの電源整合器で、まだ使い始めたばかりだからあまり結論めいたことは書けないが、あれこれやってみたくなる可能性を感じている。 2003.12.5
 SINANO GPC-1500

定格容量15A 出力コンセント10口
定価100.000円

向こう側に見えるJOBスィーターからSINANOに替えると大変クリアで力強い音になる。ここまで変化するとカートリッジを取り替えて楽しむように、電源装置を何種類も持っていたくなるほどだ

けっこう場所を取るので、4口〜6口でいいから、そして縦型だと最高に使いやすいと思う

スクリャービンのピアノソナタって初期の作品はショパンみたいな感じの美しいものなんだけど、ある時期から突然現代曲的になる。無調になってからの作品もすごく美しいと言うか、官能的な世界だ。僕は「第9番 黒ミサ」をききたいなあとずっと思っていた。で、今夜遅くスタジオに運んできたLPの中に黒ミサがあったので黒ミサ的気分の僕はためらわずこれをきいた。これからクラシックをきこうと思うジャズファンにはスクリャービンのソナタなんて最適だと思う。短いしね。 2003.12.7

昨日は朝から晩までよく働いた。この半年以上、ほとんどの仕事をデジタルカメラ(キヤノン10Dしか買えない)で行っている。ものすごくスピーディに撮影が出来て、しかもポジでは不可能だったことが色々出来るので、ついやってしまう。自分の音が好きというのと同じ感覚で、自分の撮った写真はかわいらしくて、撮った日の夜とか次の日はPhotoshop職人になる。それでか偶然か、この半年間仕事は増えている。

ヘトヘトになって帰ってきて、いっぱいあるLPの中から数枚えらび針を下ろす。中には期待に反する内容の物もあり、くそーと思いながらマウス操作をやめてレコードプレーヤーに向かう。エミネントを返却してしまったので(また貸して欲しいとはお願いしている)、今はTAITANを使っている。TAITANは試聴と共に代理慣らし運転を依頼されているので、なるべく沢山のLPをきくのが任務なのだ。 2003.12.9

このところどうもやる気が出なくて、オーディオ関係のHPもあちこちにいっぱい出来たことだし、今のままなら僕はやめちゃってもいいのかななんて思ったりもする。そういう調子だから、ものすごくいい加減にきいている。あ〜あ、はやくTD124やってこないかなあ。TD124が動き始めたら、まずはダイナベクターのDV505で音を出すことになっている。 

上の電源装置がやってきてから今日で約5日が経過した。音はしなやかさを増したようだ。とにかく強力な音で、例えば僕は音楽をちゃんときく場合室内の蛍光灯はつけないのだが、そういう事を無視して音楽が存在するような強い音に変化する。良いなあと思っている部分が7割ぐらい、ちょっと心配する気持が3割ぐらいだろうか。アナログも不思議だけどデジタルも不思議だ。 2003.12.10

今日は午後から仕事なので午前中はケネス・ギルバートが演奏するバッハの平均律クラヴィーア集のレコードをきいて過ごしている。あのLPの山に入っていた物だ。アルヒーフのLPもメチャクチャ沢山あって僕にはわけがわからないのだが、広木さんが「これは山本さんがきくといいよ」と教えてくれたのだった。

けっこう忙しくしていて、今年は暗い12月を陰鬱に過ごすことが出来ない。おかげで何とか年が越せそうだ。明日も撮影だし、夜は魚を安く買っていっぱい食べるパーティに誘われている。 2003.12.11

昨日の戯れる会例会は久しぶりに人数が少なかったので、ゆったりとあれこれきき比べをした。参加者が持ってきてくれたスミコのカートリッジや、自作フォノイコなどをスタジオにある機器と比較試聴して、珍しくオーディオテクニカのAT33MLまで登場した。

このところ少々忙しくて、何も出来ずにいるが、トーレンスのTD124が届いたらやってみたいこと、AETのSCRラインケーブルをあと何セットか手に入れたら試したいことなどもあって、この年末年始はオーディオで楽しめそう。 2003.12.14

昨日の午前中スタジオでデジタルカメラ講習会を開いた。そこで参加した皆さんに朝日・読売・日経三紙のカラー広告ページの比較をしてもらった。このHPの読者は朝日新聞社に勤めている人も読売新聞社の人もいて、僕としてはどっちの味方でもないのだが、現時点での比較では新聞のカラーページは読売が一番だ。黒が黒く色が鮮やかで、単なるハイコントラストでもなく、中間のトーンが維持されているので立体的な表現だ。日経はカラーページが少ないためか、やけに良かったり悪かったりする。朝日新聞はちょっとコントラストが低く茶色っぽい感じの色だ。スポーツ欄における読売新聞の写真はちょっと驚くほどだと思った。興味のある人は一週間ほど何社かの新聞を買い続け、同じ広告(元データは同じはず)を比較してみてほしい。

CDのリマスタリングや、僕たちがオーディオであーでもないこーでもないとやっているのは、こういうところを求めているわけだ。そして新聞紙には紙の質に限界があり、さらに写真映えのする紙やインクになればもっと別の表現が出来ることだろう。

SACDはもしかするとより上質な紙に上質なインクで印刷された世界なのかも知れないと思っている。 2003.12.15

精度の良いスピンドルに交換され

アイドラーも取り替えられて

今晩TD124が届く予定

そして

   届いてから約30分ほどでこのような状態にして音を出してみた

ターンテーブルが変わっただけなのに、どうしてこんなに素敵な音になるのだろう。深みのある表現に接して涙が出てきた

信じられない

僕のプレーヤーはもうこれで良いかも知れないなあ

 

 そして、文句あっか?
  って感じの二時間後

 こんなにオーディオのことを一    生懸命やったのは久しぶりだ

 コニサーの音を思い出した

 協力してくれた皆さんに感謝!!


まだ原稿をくれない人もいるのですが、「速やかに掲載されよ」という声もあるので、先着順に掲載することにしました。StudioK's主催の第一回 Surprised of the year 2003です。

Surprised of the year 2003 川崎一彦

A部門 自分のシステムで使用した機器の中で「あれまあ」と驚いた製品

(1)「岡島直樹氏製作プラチナデジタルケーブル」
日本に帰国して以来、岡島氏の製作するケーブル類のお世話になっています。銀単線ケーブルのみならず、絶縁トランスや改造プラグ、タップ、ヒューズ類もそれぞれに効果があり、私の他にも愛好者が増えつつあります。氏の製作するグッズは、音に芯を与えながら透明度を上げ、音場をより立体的でオープンにする方向に特に向いていると感じています。中でも驚いた作品は、直径1mmのプラチナ線を使用した絹巻きのデジタルケーブル。なんという品位の高さ。銀よりプラチナ、それも太い方が良い、という悲しい現実を聴きました。太いプラチナは高解像度と音の厚みが両立するのです。何とか気持ちを抑えて、現用の0.5mm径プラチナ+6N銀単線の特製ケーブルで留まっています。

(2)「サーロジックD-Cube2」
上記は特殊なものなので、市販品から選びますと、近々贅沢して2台も導入する小型サブウーハー。帰国後初めての大物買いです。試聴と購入の顛末は既に報告済みなので割愛します。低音を充実させたいという動機から試聴したのですが、それより何より、38Hz以下しか加えていないのに、上から下まで音の質感全体が向上するのには驚きました。小型スピーカーのみならず、大型スピーカーにも追加できる製品ではないかと思います。

B部門 自分以外の場所で「あれまあ」と驚いた製品や可能性を感じた状態
(1)dCS ヴェルディ+エルガー・プラス
今年の8月に富田邸と岡崎邸で聴いたCDの音の図抜けた情報量、音の粒立ち、奥行きの出方は、もちろん両人の力量と周辺機器の力にも依拠するものではありますが、dCSのベストコンビの持つ能力の高さを見せつけられた思いでした。やはりディーリアスとエルガーの間には、個性だけでは語れない「格」の違いがあるんでしょうねえ。ヴェルディについては、SACD対応トランスポートであることはもちろん魅力ですが、富田さんがCDトランスポートとしての実力の高さを認められた事実は、私にとっても大きなことでした。これで安心していつの日か私も。いつの日かノ あー、しかし、いつ???

(2)エアー K1X+V1X+アヴァロンダイアモンド
8月、ダイナオーディオ中古センターで聴いたのですが、たしか最初はK1Xにジェフロウランドの新型パワーアンプ、モデル302でした。しかし、この302はあまり鳴らし込まれておらず、ちょっと焦点が定まらない音でした。そこで担当者の島田さんがいつも調教されているエアーK1X+V1Xコンビに変えたのですが、ダイアモンドが奏でるその音は、エアーの冴え冴えとした、しかし適度な温度を保った音色、どこまでも描き込む、驚くほど精緻な解像力、3D定位で、魅了されました。オーディオ的快感度の高い音で好きです。

今年1番良かったソフト
ミッション・インポシブル2(ハンス・ジマー)
バックドラフト、グラディエーター、シン・レッド・ライン・パールハーバー等、ハンス・ジマーの音楽はどれも最高ですが、特にこれを今年一番聴いたと思います。カルミナブラーナ+ハードロック+スパニッシュといった感じで、激しく、物悲しく、とびきり美しい。低域がてんこ盛りで、しびれます。これを十全に聴くためにサーロジックを導入したと言って過言ではありません。サーロジックの村田さんも「この録音は日本人には出来ないでしょうね。」 しかし、このCD、既に前科があります。アヴァロン友の会の伊藤さんとのOFF会中に、この曲で隣の家から苦情をもらったのでした。気をつけよう(汗)。

(2)「いくつもの川を越えて生まれた言葉たち」(森山直太朗)
森山直子には敵わないけど、息子も大した歌唱力。実声と頭声をスムーズに行き来し、かつ響きをコントロールするテクニックは見事だと思います。曲も詩も良く、彼の世界は既に確立しています。素晴らしい録音で、その声のニュアンスの変化する様とエコーの浮遊する空間感の美しさがよく捉えられており、ケーブルやインシュレーターの効き方を聴き分けるのに大活躍しました。6曲しか入っていないのが残念。

(3)「ソングバード」(エヴァ・キャシディ)
拙宅のOFF会にいらしたアヴァロン友の会の岩佐さんが持参されたCDからかけた1曲が「フィールズ・オブ・ゴールド」。その声と歌唱にしびれた私は、米国に出張する同僚に、「CD屋でエヴァ・キャシディという歌手のCDを全部買って来て」と頼みました。「ソングバード」「イマジン」「ライブ・アット・ブルース・アレイ」「タイム・アフター・タイム」「アメリカン・ソング」の5枚を入手しましたが、どの曲も歌唱も心に深く染み入ります。1996年に33歳で夭逝してしまったのですが、彼女の生命力に溢れる声に癒され、明日への活力を貰っています。

 

Surprised of the year 2003 磯部和彦
山本さま

一度は原稿書くのを辞退しましたが、やはり今年導入したメトロノームシステムにつ いて、国内で一番最初にメトロノームシステムを導入した者の使命として何か書かな ければメトロノームに申し訳ないという気持ちになり、過去のCD遍歴を交えなが ら、つたない文ですが綴ってみました。

CD遍歴とMETRONOME「KALISTA&C2A Signature」


私は自分でも、おっちょこちょいな性格だと思う。そして、物事を深く考えずに直感で行動する癖がある。それがいい時もあれば、その性格が災いして深く後悔することも少なくない。オーディオにおいても数多くの失敗を重ねてきた。最大の失敗はCDが発売されてすぐに「これからはCDの時代だ」と思いこみ、何の ためらいもなくアナログを捨ててしまったことだ。

私のアナログの最終形は、マイクロの糸ドライブのプレーヤーにFRのロングアー ム、FR−7というツチノコのようなカートリッジを使っていた。

CDを導入して暫くは安定した定位や揺るぎない低域、スクラッチノイズのない無音 からいきなり音楽が飛び出す世界に、悦に入っていたのである。トーンアームやプレーヤーの糸の張り具合等々、七面倒くさい調整から解放され、こ れからは音楽を聴くことに没頭できると信じていた。

ところがである。
ある日、この音楽はなにか間違っていると感じたのである。
肝心な音楽を聴いていても、心が音楽を聴いておらず、音を追いかけている自分がそ こにいるのを発見した。
音楽を聴いていても、ちっとも楽しくない。以前のアナログで聴いていたような、心の高揚感が全くないのだ。

それからはCDは勿論のこと、アンプをはじめ機材をとっかえひっかえし、しまいに は当時50万もしたdbxのグライコまで購入したが、失われた世界を取り戻すことは出 来なかった。まさに泥沼オーディオである。もがけば、もがくほどアナログを捨てたことを後悔し、完全に自分を見失っていた。こうなると、楽しいはずの趣味なのに、地獄の苦しみであった。もうオーディオを辞めようと何回も思った。

その鬱憤から3管式プロジェクターを導入し、気を紛らわせていた。丁度その頃StereoSound社から「HiVi」が創刊されたそれからの私はビジュアルにのめり込み、3管式プロジェクターと格闘する日々が続 いた。
アイツに出会うまでは・・・

アイツとは、そうワディアである。
私が導入したのはワディアの中でも、もっとも音が太い「WadiaPro」だ。「WadiaPro」で音楽を聴いていて体からα波がでるのが、わかった。CDを聴いて初めての体験である。忘れていたこの感覚。音楽を聴くことが楽しくなるとともに、再びオーディオに対する情熱が蘇ってきたの である。トランスポートもワディア「WT2000S」から「Wadia7」となり、音に対する欲求も体か らα波がでるだけでは満足できなくなってしまった。音がもっと飛んできて欲しい、もっとエロく、もっと、もっと・・・その後トランスポートはバークレイ3姉妹を全て購入した末に「X1CD」となり、DA Cもクレル「SBP-64」を経て「Reference64」となった。この時点で、自分の求める世界がほぼ確立されたのである。

しかし、オーディオは立ち止まったらつまらない。更なる高みを目指して、評判の良いdcsをはじめ、これはと思うものを片っぱしに購入 試聴したが、私にとっては「別に」という感じで、非常に寂しい思いであった。余計な散財をしただけである。それらはオーディオ的には素晴らしくても、音が白かったり、私にとって基本である 体からα波がでなかったり、音が飛んでこない等々、バークレイとクレルのコンビの 前では、とるに足らない存在であった。

そんな折、ムンドの「Eidos38」を某所で聴いた。
音を聴くまで「Eidos38」は、私にとって白いただの箱であった。しかし、音をだした瞬間、白いただの箱が只者ではない事を思い知らさせられたのだ。私が欲しかったのは、このしなやかさだったのかと「Eidos38」から教えてもらったの である。「Eidos38」を聴いたあとでは、バークレイは骨太で大味な女と単調なピストン運動を 繰り返しているかのように思えた。あんなに愛していたのに、私も酷い男である。こうして新しい伴侶がシステムに加わった。しかし、「Eidos38」は所詮白いただの箱である。音には満足しつつも姿形に魅力がなく、バークレイを慈しみ愛した日々が日増しに恋 しくなってきた。また、やっちゃったかな?と後悔の気持ちになったことを白状しよう。

そんな私の気持ちを見透かしたように、厚木さんがメトロノーム「Kalista」と 「C2-A Signature」を持ってきた。
厚木さんは私の音の好みを熟知し、最も信頼する人である。なので私が欲しいと言っても、私の好みに合わないものは売ってくれない。そんな厚木さんが持ってきた「Kalista」に私の期待は満々であった。

結果は、一発で参ってしまった。デザインで一目惚れ、音を聴いて仰天!
そして予定になかったC2-A Signature」の素晴らしいサウンドに、なんと 「Reference64」まで追い出すはめになってしまったのである。予想もしていなかった展開に、驚きと嬉しさで、顔がにやけてっぱなしであった。

メトロノームのコンビが描き出す世界は、音がまるで生き物のように部屋中を縦横無 尽に飛びまわり、演奏者が生き生きとして音楽を奏でるのである。しかも抜群なテクニシャンに全身を愛撫されているが如く、体中が気持ちがいい。この音を聴いてしまうと、今までの音は愛撫なしで、事におよぶようなものだ。お約束である、音の黒さ、ノリ、ため、飛びが申し分なく再現できるのは言うに及ば ず、更に音楽が楽しくてしょうがない鳴り方に、こちらの顔までほころんでくる。音楽を聴いていて、心がうきうきしてくるのだ。こんな鳴り方をするCDは、他でお目に(耳に)かかったことがない。そして鳴り方にゆとりというか、余裕の次元が違うのである。この音を聴いてしまうと、他のCDシステムはCDに入っている情報を正確に再現す るのが精一杯な感じすら受ける。まさに芸術的な領域に達している感じだ。
オーディオは感動してなんぼだのものだと常々思っているが、音楽をしかめっ面して 聴いている人に是非聴いてもらいたいシステムである。本来、音楽はその字の如く楽しいものでなければならない(そうじゃない音楽もあるが)過去、私が本当に求めている音はアメリカ製品じゃないと出ないと思っていたが、そ んな偏見をフランス製のメトロノームが見事に吹き飛ばしてくれた。

メトロノームが奏でる音楽を聴いていて、ふとアナログを捨てたあとの辛かった日々 が思い出され、涙が出てきてしまった。これでやっとアナログの呪縛から逃れることができる、そう思ったからだ。

やるなあ、メトロノーム・テクノロジー。
そして、ありがとう。

 

Surprised of the year 2003 岡崎俊哉
A部門 自分のシステムで使用した機器の中で「あれまあ」と驚いた製品

今年も残すところあとわずかとなった。Studio K`s主催の「Surprised of the year」、今年一番驚いたことといえば、我が家における主役メディアの交代である。なんと、CDを買うよりもSACDを買う枚数の方が多かった。SACDの飛躍的な普及、などといえば多数の異論があるだろう。ただ、私の予想をはるかに上回るペースで今年はSACDがリリースされた。こんなペースでSACDがリリースされるとは考えていなかったのでこれはうれしい誤算であった。

DSD録音によるSACDは素晴らしい臨場感で演奏者の緊張感やエネルギーを伝えてくれるし、リマスターされた旧譜も当時の熱気を生々しく再現してくれる。SACDで聴くことで演奏者との距離がだいぶ近くなることができた。それは、デジタルに無くてアナログにあると言われてきたもの、それをSACDが取り返しつつあるのではないだろうか。

さて、このような素晴らしいフォーマットやそれを再生する高性能な機器が出現したおかげで、デジタルケーブルも併せて急速な進化をしたと思う。というわけで、自分のシステムで使用した機器の中で「あれまあ」と驚いた製品は

1)AET URDG75Spec2004
これに関してはStudio K`sで既に報告したのであまり繰り返さないが、AET URDG75は我が家で欠かせないデジタルケーブルである。CDのデジタルデータをDSD変換したり、クロックで各デジタル機器の同期をとるために、デジタルケーブルの存在は従来よりも重要で影響が大きい。今回、Spec2004になりS/Nが改善され、より細かな部分まで聴き取れるようになり情報量がupしたこと、そして強調感の少ない自然な音色になったことが素晴らしい。

2)Ortofon DCI-5066 Silver
Ortofonから発売されると聞いて、ずーっと早く聴きたいと思っていた6pin i-linkケーブルである。ようやく我が家のシステムで聴くことができた。音が出た瞬間、「素晴らしい」と思わずつぶやいてしまった。音色が暖かいため、アコースティックな楽器やヴォーカルの魅力を的確に表現してくれる。また、自然なサウンドバランスで重低音もよく伸びており、音楽のエネルギーを感じさせる鳴り方である。これを聴くと今までのi-linkケーブルは何だったのかと思ってしまう。音場も広大で、楽器が奥行き方向から自分のサイドまで立体的に定位する。これならば我が家ではマルチチャンネルはいらないか、と考えてしまうほどである。(もちろん、我が家のリスニングルームが小さく、近接試聴なことも大きいのだが。)このi-linkケーブルのおかげで我が家のSACD再生はまた一段階段を昇ることができた。

i-linkケーブルはコネクタ部分の形状のため太いケーブルの接続が困難で、細いケーブルしか存在しなかった。それをOrtfonは独自のコネクタを開発することで従来比で3倍以上の太いケーブルを接続することに成功した。このようなピュアオーディオに対する真摯な姿勢が、初めてのハイエンドクォリティi-linkケーブルを生み出したのであると思う。記念碑的な製品であり、素直に拍手喝采したい。

B部門 自分以外の場所で「あれまあ」と驚いた製品や可能性を感じた状態

我が家で対応する予定はないのだが、富田徹氏や小林悟朗氏のシステムで聴かせていただいたSACDマルチには大いなる可能性を感じ取ることができた。(このお二人は現在、日本で最も進化したマルチ環境を構築されている方々なのであろう。)最近発売されるSACDの大部分にはマルチも収録されており、今後この分野はどう発展していくのか興味深い。ただ、ソフト制作側がマルチチャンネルの提示に対して試行錯誤があり、ソフトにより非常に効果的なものと、うーんと考えてしまうものが混在する状況はまだまだ続くのではないだろうか。

今年1番良かったソフト

さて、今年リリースされたSACDで単純にこれは凄い!と思ったものをあげてみる。

1.マーラー:交響曲 第2番 ハ短調《復活》
ラトーニア・ムーア(ソプラノ)、ナージャ・ミヒャエル(メッゾ・ソプラノ)、
ウィーン楽友協会合唱団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ギルバート・キャプラン

マーラーの交響曲 第2番「復活」だけのスペシャリスト、ギルバート・キャプラ
ンの渾身の演奏を余すことなくとらえた一枚。オーケストラがパッケージメディ
アにこのような形で封入できるとは考えてもみなかった。SACDでなければ真価が
わかりにくいソフトであるともいえようか。

2.Rendezvous in New York

生誕60周年、活動40周年を記念して、2001年にニューヨークのブルーノートで3
週間にわたり行なわれたライヴのハイライト。聴いた瞬間にやられた!と思った
ほど凄い演奏、そしてライブの演奏会場を切り取って持ってきたかのような鮮度
の高い録音。文句のつけようのない完璧なディスクである。

3.The Well Jennifer Warnes

オーディオのチェックディスクとして有名なFamous Blue Raincoat 、Hunter で
知られるJennifer Warnesの新作がSACDで登場した。緻密な音作り、そしてJennifer
の感情の抑揚が手に取るようにわかる感じがするのはSACDならではかもしれない。

今年はHybrid Disc元年ともいえる年であった。かたくなにSACDのみをリリースしてきたSMEからもHybrid Discが(しかも元ちとせなどのJ popでも)リリースされた。今後、ディスクはCCCDとHybrid Discに二極化されていくのであろうか。来年も多くの素晴らしいSACDと巡り会えることを期待している。


       岡崎 俊哉

 

Surprised of the year 2003 富田徹
 1 AET・SCRラインケーブル

繋いで音を出したらびっくり。不満に思っていた部分が解決してしまったからだ。これほど安くて音の良いケーブルはめったにない。RCAコネクターの出来も素晴らしい。これは機器にさした瞬間に実感できる。こうしたケーブルが設計されるのは偶然ではない。世の中には見せかけだけのバカ高い怪しいケーブルはゴロゴロしているが、SCRラインはそういったモノとはまったく異なり、その線材構造を見ても実に入念な設計がされていることが分かる。

 2  dcsヴェルディ

エイドス38はCDトランスポートとして最高の機器である。ヴェルディは使いこなしでエイドスを超えたり超えなかったりする。それだけ敏感な機器ともいえる。とくにSDIF-2で送るCDの音は素晴らしいが、そのカギを3本のディジタルケーブルが握っている。同社のケーブルでは話にならない。そういうところが面白い。適正なケーブルを接続し、外部クロックを繋いだときのクオリティは現在世界最高水準にあると思う。

 3イケダのカートリッジ IKEDA 9R

僕の常用カートリッジだったベンツマイクロの04がまったく勝負にならなかった。この音は誰にも聴かせていない。9R用に買い換えた昇圧トランスもドンピシャ。これで僕のカートリッジ選びは終わった。あとは気に入ったレコードを聴くだけ、と、そういう気にさせたところがすごいカートリッジだと思う。この音にディジタルは追いついていない。このカートリッジが鳴らす個性をディジタルでは再現できない。

 4 JOB 電源コンディショナー スイーター

これは使いこなしがかなり難しい。エイドス38にはすでに内蔵されている。ディジタル機器に効果を発揮するが、組み合わせで音がコロコロ変わる。3本使う電源ケーブルによってもコロコロ変わる。これはもう徹底的に組み合わせを変えて試聴するしかない。ある程度決まってくるとはずせなくなる。ディジタルサウンドのいやな部分がきれいに消える。ただ繋いだって良くはならないという典型的な機器。

 5 柳澤邸ボクサーT2

T2は昔、他のところでも聴いたことがあったが、これは手ごわいと感じた。それを柳澤さんが買ったのだが、案の定それはもうひどい音で、これは永久にいい音を奏でないスピーカーなのではと密かに思っていた。それがある日のこと、室内楽が、それはもう軽やかにみずみずしく鳴っているはないか。よくぞここまで、と思ったがまだまだいきそうな気配はあった。今年最後に行ったときはおそらく広い部屋で鳴らしているオーディオファイルの中ではベスト1と思われる音にまでなっていた。でもまだまだいきそう。オーディオの最先端はもっと先にある。

 6 岡崎邸1394SACD

SACDをいろいろなところで聴いたが、SONYの試聴室を除けば良いと思ったことは一度もなかった。それがあっと驚いたのがヴェルディとエルガー+1394のiリンク接続の音だった。これにはやられたと思った。なぜなら僕はiリンク接続をダメと決めつけていたからだ。SDIF-2で繋げないとクオリティが落ちると考えていたためで、実際その接続が出来るようSACD機器を改造のためにアメリカに送ったりもした。だがそんな必要はなかったのだ。iリンクで素晴らしい音が鳴る。これは聴かないと理解できない。AETの新型アルティメイト・ディジタルケーブルにもビックリした。

 7 小林悟朗氏からいただいたCD『UTOPIA』

なんという素晴らしい選曲、そして音楽の数々。このセンスにしびれた。これが1枚あれば無人島で一生暮らせる、とまではいかないが、いまだに飽きることがない。今年この盤を何度かけたことだろう。ただし、他の人のところへも持っていって聴いたが、不思議と良くなかった。つまりこれは我が家でなければあまり楽しめないというか、それぐらい機器との相性があるようだ。そんなこともあってデモには必ず使う。小林悟朗氏は素晴らしいソフトを見つける天才である。

 8 SACDマルチソフト ムターのベートーヴェン・ヴァイオリンコンチェルト『ロマンス』

これは新しく購入する予定の試聴機で聴いたとき、あまりにもすごくて驚いたマルチソフト。壁の向こうにオーケストラが実寸大のイメージで展開し、姿が見えないのが不思議なくらいリアルで美しいムターのヴァイオリンが響く。僕はその美しさに何度もため息をついた。昔、サントリーホールで聴いたクレーメルのヴァイオリンの音色を思い出した。そこに共通の美しさを感じたからだ。こんなことはディジタルサウンドでは初めてのこと。ついにディジタルであの美しさが再現できたのだ。これは画期的なことである。

 9 H邸 JBL4350

H氏はお医者さんで、雑誌にもネットにもどこにも出現されない方である。僕はこの方からインテリアセンスを学び、また、3管プロジェクターやライカのカメラや絨毯その他多くのモノから影響を受けた。とにかくこの人にはかなわない。オーディオセンスも抜群でいつも挑んでは敗れて帰ってくるのである。
どういうことか。この方のリスニングルームに、これはすごいですという機器を持ち込むのだが、いつも自分の浅はかさを知ることになるのだ。JBL4350はこれ見よがしな音はしない。でも心に響く音で鳴る。これを聴くとJBLっていいなーといつも思う。前のジーメンス・オイロダインも素晴らしかった。とにかくこの人の手にかかるとどんなモノでも輝いて見える。

 10 山本氏の鳴らした『ライディーン』

K'sではいつも安定したサウンドが聴かせてもらえるが、ある時ビックリした。イエローマジックオーケストラの『ライディーン』である。僕はこの手の曲が大嫌いで同じアーティストでも坂本龍一なら、ジ・エンド・オブ・エイジアとかを好む人種である。にもかかわらずK'sで鳴った『ライディーン』にはビックリ。この曲がこんなに楽しめたのは初めてだ。あの頃はバカにしてたけど、こうして聴いてみると良くできている。あの時代にこれをヤッタということはすごいことだ。ただ山本氏は『ライディーン』を褒められても困るなーといった感じではあったが。いいものはいいんだからしょうがない。
Surprised of the year 2003 山本耕司
A部門 自分のシステムで使用した機器の中で「あれまあ」と驚いた製品 
1)JOB スィーター 
 2003年の一月、オーディオベーシック誌の「わがまま実験室」で僕は超高級CDトランスポート4機種の試聴をやらせてもらった。当然ながら試聴終了後の僕は愛機TL-2の音をきくことができなかった。それを救ってくれたのがJOBスィーターだった。僕の装置に入れるとCDの再生音にアナログ的陰影とうねるような抑揚が加わる。
2)AET SCRラインケーブル 
 長いことずっと、ケーブルは出来れば2〜3万円ぐらいが標準、ちょっと高くて5〜6万円、もうこれがなくちゃどうしようもないという場合で最高に奮発して10万円ぐらいであって欲しいと書いてきた。その考えは今も同じで、何十万もするケーブルが当たり前になったら、一般の人から見ればオーディオは異常な趣味だと見られるだろう。AETのSCRラインケーブルは1mが定価48.000円で、決して安くはないが何とかなりそう。出来れば最低三日間ほど自宅試聴をさせてもらって、気に入ったら一本購入し、これを基準にしてこれより性能が良いと判断してしかも妥当な値段だったら導入するのが良い。でも、この値段でこのケーブルを超えるのは至難の業だと思う。
3)トーレンス MCH-IIとトーレンスTD124 
今年の6月にKENWOODのKP1100が壊れ、スケルトンにしているという理由で修理してもらえなかった。僕はこのプレーヤーを今でも愛していて、これはクルマに例えればAE86(改)的軽快なプレーヤーで僕はそこをとても好んでいた。
次期プレーヤー候補に悩み、しばらくマイクロのDDX-1000を貸してもらったが、DDX-1000はKENWOODとは対極の音で、10年ぐらい前のトヨタ クラウンの柔らかなサスペンションみたいな音だった。僕はDDX-1000をうまく鳴らすのに随分苦労し、フォノイコを買ったりフォノケーブルを作ってもらったり、数ヶ月間学習させられた。そういうわけで、今ならもう少し違う接し方もできると思うので、(さすがにもう買う気はないが)もしスタジオの玄関前に動くKP1100or9010が置いてあったらもう一度使ってみたい。
何度かプークマさん(当時はJoao)にDDX-1000での苦闘が始まった頃の音をきかれ、彼はZYXの音が気に入らないと主張し「これをきいてみろ」とトーレンスのMCH-IIを置いていった。これは僕が初めて手にしたトーレンス製品で、このカートリッジが表現する世界は静かで深い驚きだった。大まかに言えば豊かで柔らかいのだが、堂々としていて華があり、完成した趣がある。だから現代的カートリッジをきき続けてちょっと行き詰まったり疲れたときはMCH-IIに戻ってみる。そして「ああ、そうだよなこの感じを忘れちゃいけない」という事を教えてもらうことにした。
そしてTD124である。これには恐れ入った。「馥郁たる」という言葉はこのプレーヤーでの再生音のためにある。今年一番の驚きは12月に入ってから滑り込んだこのプレーヤーで、TD124が届いてからの僕は毎晩「明日はあのプレーヤーで何をきこう」という夢を見ながら寝る。スタジオにやってくるとパワーアンプのスイッチを入れ、そして(昔のように)、その日が終わるまで音楽を楽しむようになった。
B部門 自分以外の場所で「あれまあ」と驚いた製品や可能性を感じた状態
メトロノームのCDトランスポートとDACを導入した際の磯部宅 
メトロノームのトランスポートを4日間試聴し、素晴らしいCDトランスポートだと思った。でも、自分が使いたいかどうかというと話は別で、僕の装置ではこのトランスポートを「もてあます」と思った。特に低音がKEFの能力以上のものを求める感じがあった。しかし、3月に磯部邸でメトロノームのセットを試すとこれはドンピシャのはまり具合だった。僕はここで体験した劇的な変化とその表現に大変驚いた。そして、この時きかせてもらったYMOを自分のところでも同じように再生しようなどと思って、ついつい最大音量を出し続けた結果、スタジオ開設6年目にして初めてご近所から「音がうるさい」という苦情を頂戴した。
今年よくきいたソフト(CD)
当然カエターノ・ヴェローゾをはじめとするブラジル音楽、そしてオッター&コステロ、チック・コリアのニューヨークライブ(これをきいてSACDプレーヤーが欲しくなった)、アン・サリーなど。
今売られているオーディオ・ベーシック誌第29号のMyAudioLifeに登場している西田智彦さんがスタジオに持ってきた、朝日美穂のCD「HOLIDAY」と、同じく高橋健太郎さんがプロデュースした藤原大輔「白と黒にある四つの色」の一曲目「さかなのボーカル ぽこぺん」が歌っているCD(詳しくはBeatSound第二号144ページあたりを読んでおくれ)、それから取材の時に西田宅できかせてもらったSTINGのなつかしい「バーボンストリートの月」コーネリアスMIXバージョン。これらは多分僕がMacで画像を処理してプリンタで出力しているような世界のはずで、写真も音楽もここ数年そのレベルは急激上昇中らしい。でもこの他に年間を通じていつもいつもきいていたCDがあって、それは「ダコタ・スィートのシグナル・ヒル」と「ラム・チョップのイズ・ア・ウーマン」で、二枚ともおだやかでヘビーなローテーションでした。
    井出よし江さんのピアノリサイタル
 ジョアン・ジルベルトのコンサートと井出さんのリサイタルの両方をきいた人が「井出さんのリサイタルはジョアンのコンサートと同じぐらい良かった」と言い、僕は「そうだね」と答えた。
ジョアン・ジルベルトのコンサート
あれからずっと、僕はジョアン・ジルベルトのCDをきけなくなり、最近ようやくきけるようになった  ピナ・バウシュの公演  あのシーン、このシーン、いま思い出しても美しく、やさしく、皮肉っぽく、ユーモラスで、そして平等だった
2003年も残りがあと一週間ほどとなった。多分今年の365日のうちで、ここ数日間がもっともオーディオ?というより音楽的に最も充実しそして劇的な期間だったと思う。そしてそれは夢でもまぼろしでもなく来年も続くようだ。
もうこのくそったれGOLIVE6は使っていられない、時間と手間を返せ

トーレンスのTD124は、当初のイメージ通り、このような方法でラックに収まり、その表現は確実に向上した。

そういうわけで、現在の全体像はこんな感じになった。
ヤマハのHX-10000は僕の10000倍ぐらい必要としている人に譲ったので、ラックは非常にスッキリし、双方共に幸せなクリスマスになった。
1986年の12月 懐かしい。あの「別れも好きな人」をきいたときは笑った。
トーレンスTD124導入のおかげで、僕は当分の間KEF105で楽しめそうだ。トーンアームはマイクロ用のアームボードを注文したので、それが届いたらマイクロにしてみようと思っている。フォノイコをブーメスタにしてみると、カートリッジは何をつけても良い感じで鳴ってくれるところが嬉しい。

そういうわけで、今日はトーレンスのMCH-IIにしてみた。トーレンス+トーレンスもなかなか良い。単に優雅なだけではなくキリッとしているとことはキリッとするところがMCH-IIのすごいところだ。このところ少しモノラルLPも手に入ったので、近いうちに音のエジソン製モノラルカートリッジも試してみようと思っている。
TD124とブーメスタのフォノイコは非常に相性が良く、どんなカートリッジを装着しても各々の良い面を出す。DDX-1000の時はHX-10000が良かったので、このあたりはよくわからない。しかも、僕の装置あくまでKEF105+クレルのプリ+SDサウンドのOTLアンプという世界での話だ。

で、なにしろクラシックのLPが膨大にあるので、このところクラシックをきくことが増えている。来年は1月4日から戯れる会で、この日は昼に神田明神で集合し「楽しいオーディオ生活」を祈願後、ダイナベクターのアームにダイナベクターのカートリッジを付けて(実は先日メチャクチャ骨なしみたいな音だった組み合わせなのだ)これがバッチリ良く鳴るってことを体験してもらおうともくろんでいる。朝、HNK FM黒田恭一さんの番組をきいていたら、ベートーヴェンの第九をやっていた。一年に数回しかきかないが、いつも書くけど、第九はアナーキーな感じとでも言おうか、肯定的な宇宙観みたいなものがあって好きだ。自分にとって心地よいもの、そうでないもの、かわいい人、いやな奴、泥棒、いろいろあるが、それら全部をひっくるめてやっていくしかない。そして、僕の中では第九もブラジル音楽も大きな違いはなくて、みんな楽しんでいる。

このところTD124のことばかり書いているが、上の写真にあるように、数日前からパワーアンプはSDサウンドのバイアンプになっている。だから、もちろんCDの音も変化している。上下が同じアンプになったので音色やスピード感がそろったと思う。久しぶりにSTUDIETTOでLPをきいた。使っていなかった期間は約一月半ほどだろうか。トーレンスとは違った魅力がある。でも、長らくお見限りだったことに拗ねてか、演奏途中でポコッとアームが上がってしまったりしてほほえましい。わかったわかった、君とももう少しつき合うようにするよ。

トーレンスのTD124とSTUDIETTOの比較は興味深い。STUDIETTOにはZYXクライオをつけていて固定だし、フォノイコはクレルのプリに付属の物、ケーブルはSTUDIETTO-フォノイコ-プリ 二カ所ともMIT MI330なのでTD124とは条件が異なる。条件が同一でもそうでなくても多分感想は変わらないと思うが、STUDIETTOの方がキリッとした感じかな。両方とも魅力的だ。今日は実家でもちつき。左手親指の付け根が軽い腱鞘炎らしく、そのためいまひとつ気持よく餅がつけない。
夕方からスタジオに来てレコードをきいている。

カーマさんのHPに、かねてから噂のあったジョアン・ジルベルト日本公演のCDが発売されると書いてあった。めでたいめでたい。発売が待ち遠しい。次号のAB誌はカーマさんちに行こうかなあ。今年から大晦日は「ばらの騎士」をきくことにした。それで、エーリッヒ・クライバーのLPを出してきてきいている。大晦日にスタジオで何をやっているかというと、掃除なんかは面倒だからやっていなくて、いつもの通り音楽をききながら写真の整理をしたりプリントをしたり、新しく手に入れたアプリケーションを試してみたりしている。いろいろあったけど、2003年ももうお終いだ。年越しそばも食べず、焼きそばを作って食べ、最近手に入れたエスプレッソメーカーでコーヒーをいれて飲んでおしまいという大晦日だった。
パートVIはこちらです http://studio-ks.net/audio/audiolife/myaudio6/myaudio6.html