試しにPowerMacMT300(つまりベージュのタワー型の最終機でCPUはG3の300Mhz)にちょっと苦労してOS X10.2をインストールして使ってみると、かなりストレスを感じる。Photoshopの起動なんかは意外に速いのだが、ウインドウを開くとかサイズを変えるとか、テキストエディタで書いた文をスクロールしたりというような、OS9だったらストレスなく瞬間的に反応する操作が妙にギクシャクする。僕は日本語入力から英数に切り替えるときコマンドキーとスペースバーを押すのだが、とても反応が遅い。反応が遅いのでもう一度同じ操作をして、日本語-英数-日本語と、結局元に戻ってしまうという誤操作を何度も繰り返した。とにかくOS Xはファインダー関連の操作がやたらに重い。

その点、CubeならOS Xでもまあまあ不満なく動く。G3 800MhzのiBookも体感的には同じくらいのスピードだ。CPUの速度に加えてiBookの方がCubeより新しい分高性能なグラフィックカードだし、このあたりの性能も関係しているようだ。

 Cubeに取付可能なグラフィックカードのこと

メモリやCPUに比べるとグラフィックカードの重要さはまだ認識されていない。僕も大してわかっていないが、まずは大きなモニタを使いたいということでグラフィックカードに興味を持った。歴代の純正液晶StudioDisplay5機種中、Cubeでそのまま使えるのは15.17.22インチの3種類だ。20インチと23インチはCubeに付いている純正のグラフィックカードATI RAGE128Pro(VRAM16MB)では使えない。

OS XだとQuartz Extrem に対応してるかどうかで、例えばPantherのExposeがさっさと機能するかどうかとか、3Dの描画速度あたりで差が出るのだろう。でも、僕の場合は20インチ以上のディスプレーを使いたい、またはデュアルモニタが可能かどうかが問題だった。写真をいじっていると17インチのディスプレーでは小さくて困ることが頻繁に起きるのだ。

インターネットで調べると、大体のことはわかってくる。ほんの1cmかそこらのスペースの関係でCubeに取付可能なカードは限られている。そして、それらはポリタンMac用に付けられて売られた物が多いので、写真のようにCubeとは合わないブラケットがついている。そして売られた数も多くはないので、手に入れにくく当然割高だ。詳しいことは色々なサイトで調べてもらうとして、結論から書くと、おすすめは下の二枚で、もちろんQuartz Extrem対応で、発熱が少なくTwinViewが可能だ。

ATI  Radeon 7500 32MB nVIDIA  GeForce2 64MB

僕はこれらのカードにして、出来れば20インチとか23インチのStudioDisplayを買おうと考えていた。でも、大きなモニタは高価だ。それで、とりあえずTwinViewが可能になったので、余っていたシャープの16インチ液晶を接続しデュアルモニタにしてみた。これは非常に快適で、問題は解決した。上のグラフィックカードが割高と言ってもせいぜい3万円か4万円のことだから、これで大きなモニタを買わずに済めばめでたい。

グラフィックカードは外側にあるので、交換はメモリ増設の次に簡単かも知れない。CPUになると、ほとんど全部ばらすことになるので、ちょっと面倒だ。

   CPUそしてファン

色々あって、今僕が使っているCubeにはSonet社のG4 800MhzのCPUがついている。元が450Mhzだから、約二倍の速度でこれは大変快適だ。特にOS Xだとそれが顕著だ。速さってのは、すぐに慣れてしまうものだが、Classic環境を起動するときなんか、半年経った今でも「速いなあ」と思う。僕がこのCPUカードを買ったときで約5万円、今(2003.9)の段階で35.000円ぐらいで買えるはずだから、この投資と引き替えに得られる快適さはおすすめできる。ただ、問題は冷却ファンを取り付けなければならない。それをどう解決するか。これが楽しいところだ。

通常、Cubeに800MhzのCPUにする場合はCube Dealer Installation Kitというのを付けることになる。Cubeの中には小型のファンを取り付けるスペースがあり、そこに内蔵するのだが、「うるさい」と感じる人と「この程度なら許せる」と感じる人に分かれるかも知れない。実際昼間だとほとんどファンの音は気にならないし、夜でも音楽をかけていればまるでわからない程度のファンノイズだ。しかし、僕はこのファンをうるさいと感じる。

 もし冷却ファンなしだとどうなるか?
ご近所のオリオスペックに行き「もし冷却ファンなしだと、現実にどうなるんですか?」と質問すると「例えばCubeに1.2GHzのCPUをつけてファンなしで使っていると5分ほどでフリーズした」「そして、再起動してみたら、画面がバラバラだった」という答えが返ってきた。どう画面がバラバラなのかわからないけど、とにかく恐ろしそうなので、あまり体験したくないものだと思った。

800MHzなら1.2Gよりは発熱も少ないと思われるが、ファンなしは危険そうなので、僕は出来るだけ静かなファンを取り付けたいと考えた。Cubeの下部、スカートの部分にSonetのKitより大型でゆっくり回るファンを付ければ良いのではないか? Cubeの裏側はメッシュになっているので、イザとなったらこのメッシュを切り取るか穴を大きくすればOKだろう。

 そう考えて、大きなファンを取り付けてみたが、ファン(振動音)というものはなかなか奥が深い

Cube用USB接続外付けファンなんて物もあるが、これらは比較的高価な上に貴重なUSBポートを一つつかわなくてはならない。だから僕はCube Dealer Installation Kitの配線をそのまま延長して、写真のような大きなファンをCubeのスカート部分の中に置いて送風することにした

ファンの直径は約11cm、外枠が12cmほど、ボールベアリング使用の静音設計だそうだ

上のファンはけっこう静かだが、抵抗を入れて電圧を下げるとモーターの回転が遅くなり、さらに静かになる。その状態で2003年の夏を乗り切ったので、僕はとても満足した

だが、100%の満足ではない。仮に設置している状態なので、ファンの位置が微妙にずれたりすると、ファンの風切り音と共にコトコトという音がきこえてきたりもする

その後さらに厚みのあるファンに交換し、現在はこんな状態になった。ファンの下には「練り消し」で隙間をつくりつつ振動を吸収し、モーターの上には重しを乗せて振動音を減らしている(10円硬貨数枚でも、かなり効果あり)

また、この厚みのファンだと抵抗値によっては勢いをつけてやらないと回らないので、スリープからの復帰時にファンが停止したままになってしまうため、可変電圧式の抵抗を入れて調整している

 

Cube、あるいはMacをDVDプレーヤーとして使う

もちろん、ディスプレーでDVDを観ることは可能だが、Macとプロジェクターを接続して100インチとかの大画面でDVDを楽しむことも出来る。やってみると、これはなかなかきれいで、市販のDVDプレーヤーの画質を越えるような映像が得られる。もちろん映像の出力はデジタルで出したいが、CubeのグラフィックカードにはADCの出力なので、プロジェクターとの接続にはDVIに変換しなければならない。この点、PowerBookは都合がよい。また、Cubeの場合はモニターケーブルを差し替える際に、ひっくり返すのがちょっと面倒だ。50cmほどの延長ADCケーブルがあれば良いのだが、これは3mからしかない。

最近わかったのだが、ある種類の音楽DVDをMacでかけると一回しか再生が出来ないようだ。こんな時にAppleのサポートに電話すると「お使いの機種のシリアルを言え」だの「アップルケアに入っていないと有料です」などと言う。電話番号やらなにやらも伝えているから、向こうは当然僕がすでに何台ものMacを使ってきていることは承知していて、自分のMacだけじゃなくて友人の分を買ったり.Macに何人も紹介したりしていることもわかっているわけだ。何故そういう客に対してお役所みたいな対応をするのかと情けなくなる。「Macは大好きだがAppleコンピューターという会社は嫌いだ」と言った人がいるけど、Appleのサポートは本当に杓子定規で不親切でどうしようもない。「僕はあなた方の代わりに何人もの友人のサポートをしているんだからさ、そういう相手には下らないこと言わないで使い方くらい教えなさい」と言いたくなる。

2004.6  CubeでDVDを観ていたら、突然再生が止まってしまった。DVDドライブを外してレンズを掃除したり、色々やってみたが直らないので、DVDドライブの故障らしい。そして「DVDにキズがある」というようなエラーのアラートがでる。もちろん盤面にはキズなどない。

仕方がないので、秋葉原の五州貿易で純正DVDドライブを購入して交換した。

2004.10

8月に端子がADCからDVIになった新しいタイプの23インチモニタを購入し、このモニタでDVDを再生してみるとなんだかヘンだ。字幕を表示させると映像がギクシャクする。20インチの解像度にすると、このギクシャクはおさまるし、PowerBook1.5GHzなら23インチでも問題なく再生する。試しに、12インチのPowerBookで23インチを表示させても問題なく再生するので、これはGeForce2の能力不足だと判断した。

無改造でCubeに付けられるカードでGeForce2MX 64MB以上のカードはない。それで、PowerCubeEnclosureを手に入れ、Cubeの電源基盤の場所を移動し、グラフィックカードの場所を広げて、ATI Radeon 9000というグラフィックカードを入れることにした。

三菱のLVP-D2010というプロジェクターを使っているのだが、DVI接続した画像はきれいだし、Radeon9000だと、ADCとDVIの出力があるので、23インチモニタとプロジェクターを同時に使うことができるようになった。

2005年の夏、G5を買ったので、僕の改造Cubeは友人宅へ嫁いだ

それとは別に、2006年の春からCECのDA53というDAコンバーターを使ってUSB接続をして、Macで音楽をきくようになった。そうなると静粛性にすぐれたCubeが魅力的だ。そこで、別の友人が不要になったCube(ATI 7500、流体軸受け60GB HDD)を譲ってもらうことにした。そういうわけで、今僕はCDプレーヤー、HDDプレーヤーとして再びCubeを使っている。