戸田真人=冒険家と呼ぶのが一番ふさわしい

サンフランシスコのロボス岬からバージニアビーチのヘンリー岬まで、海から走り始めて海までの5436kmを19日+3時間43分ということは、一日平均約282km走り続けた事になる。「何故このこのコースを採用したのか?」という質問に対し「なるべく高い場所をつなげていったらこうなった」と答える。「楽に完走するために高度差が少ないコースを選ぶのが常識だが、戸田真人に常識という言葉は意味を持たない。

すべての荷物を背負い、宿さがしも食事も洗濯もすべて自分で行ってのトライアルは凄すぎて解説が無意味に思えてくる。19日間の平均睡眠時間は一日3時間程度だし、ここに掲載した写真はすべて戸田真人自身が自転車に乗りながら、またはセルフタイマーで撮影したものである。

サポートカー、メカニシャン、マッサージャーは全くなしというルールで、有名な「ツール・ド・フランス」を「ヨーイ・ドン」でスタートして、同じコース同じ距離を、寝るのも走るのも選手の自由、とにかく一番にゴールするのは誰かというレースを行ったら、戸田真人は優勝するかも知れない。

エベレストに登るとか、北極点徒歩旅行はある程度わかってもらいやすい、と言うか一般の人間が「わかった気になれる」のだが、戸田真人の行為は認知されにくい側面を持っている。だから、新聞やテレビでは「自転車でやたらと長距離を短時間で走る変人だが、仕事もちゃんとやっている人」みたいな紹介のされ方になってしまう。正しくは、ヨットの堀江(かつて)青年とか戸塚宏、あるいは植村直巳に匹敵する冒険家と呼ぶのがふさわしい。

戸田真人に「植村直巳冒険賞」を!!!!


アメリカ大陸横断5500kmを19日間という記録は凄すぎて私たちの感覚では凄さが良くわからない。1億光年とか言われても「はて、それは新幹線"ひかり"で何時間なんだろう」ってな感じに近い。

戸田さんの走りでわかりやすい例をあげてみよう。96年5月3日〜4日に東京〜青森間 779kmを34時間04分という記録がある。東京から青森まで普通の道を伴走車はつけず一人で走っての記録だ。この方が凄さも身近でわかりやすいかも知れない。

僕は戸田さんが東京〜下関〜ソウルを走ると聞いたときに「写真を撮ろうか」と思った事がある。1)スクーターで一緒に走ったらどうか=スピードが追いつかない 2)高速道路に入れるバイクに乗って、時々先回りして写真を撮る=戸田さんにGPSをつけてもらわないと位置がわからない 3)それに目的地に着いてからまたバイクで帰ってくるのは、あまりにしんどい。という理由で断念した。戸田さんのトライアルを取材するには最低2チーム、出来れば3チームの取材班を必要とする。


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 Studio K's 山本耕司